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2022.08.25 イベントレポート

山口大学工学部のWeb3サマースクール(メタバースとスマートコントラクト)で登壇してきました

by Fumitoshi Ogata

#web3 #metaverse #smart contract #blockchain

Web3サマースクール(メタバースとスマートコントラクト)

Web3サマースクール(メタバースとスマートコントラクト)

山口大学システム設計工学研究室(河村研究室)の「Web3サマースクール(メタバースとスマートコントラクト)」に登壇してきました。今回は、今話題のWeb3やNFT、メタバースというものにフォーカスしたテーマのイベントで、2022年8月11日(木)、山口大学工学部にてリアル開催されました。講師は大学や、専門学校で、ゲームのシステム開発を教えてこられ、今は、エバーシステム株式会社のCEOを努められている和田隆夫先生、エバーシステムのエンジニア白濱さん、そして私、株式会社ディー・エヌ・エーの緒方が講師を努めました(モデレーターは、SEYMOUR INSTITUTEの太田さん)。

以前、CEDECでEthereumを使った和田隆夫先生のゲームの発表を拝見したことがあり、一度お話しさせて欲しいなと思っていた為、私にとっては、学生さんとの交流にくわえて、和田先生との交流など、とても楽しい夏の1日となりました。今回は、イベントの様子をレポートしたいと思います。

チューリッヒ大学サマースクールの報告 (Hwang Junhaさん)

まず最初に、チューリッヒ大学(UZH)ブロックチェーン センターが開催するインターナショナル・サマースクールプログラムに参加したHwangJunhaさんがレポートを発表しました。このサマースクールは、3週間のプログラムで、ブロックチェーン業界の専門家や世界中から参加する学生同士のグループワークを通じて、ブロックチェーンやWeb3について学んだ様子の発表でした。

私が印象的だったのは、講義の途中で手を上げて意見交換などを行って活発に議論が行われていた様子など、臨場感があり、私も生徒として参加したいような羨ましい気持ちになりました。また、英語はすごく重要だとのことで、Hwangさんは、韓国語が母国語だそうですが、日本語も完璧で、語学は可能性を広げるということをあらためて感じさせられました。

ブロックチェーンの基礎についての講義(和田先生)

和田先生の忍者をテーマとしたブロックチェーンゲームの紹介

和田先生の忍者をテーマとしたブロックチェーンゲームの紹介

ブロックチェーンとは何かという基礎的な部分について、和田先生からお話しがありました。多くの学生にとってブロックチェーン技術というものは、身近な技術ではなく、基礎的な部分から学習することはとても重要です。ハッシュの基礎的な説明などからはじまり、後半には和田先生がCEDECで登壇されたきっかけにもなった、忍者をコンセプトにしたゲームの解説などもありました。

忍者が忍び歩く足跡が表示されるアニメーションが特徴的で、以前私もCEDECで拝見した時にも見ていて、改めてこの場でみることができて本当にうれしかったです(実際には、前半と後半と個別でのセッションでしたがレポートの都合上、まとめて表記しております)

ブロックチェーンが応用するメタバースやNFTについての講義(DeNA 緒方)

MetaQuest2を使って自己紹介。私からは何も見えてないので、ピースをする生徒さんがいたことに後で気がつきました(笑)。

MetaQuest2を使って自己紹介。私からは何も見えてないので、ピースをする生徒さんがいたことに後で気がつきました(笑)。

ブロックチェーン技術は、改竄(かいざん)ができないデータを管理する技術である、と言われても、多くの人にとっては分かりにくい技術かと思います。分散台帳というデータベースの仕組みであることから、金融、不動産、医療、行政などさまざまな応用が行われている点も、ユースケースを学ぶ場合に難しさを感じてしまう原因にもなっているように思います。そのような中で、山口大学の学生さんの中にはPococha(ポコチャ)など、DeNAのサービスを利用してくださっている学生さんがいらっしゃいましたが、DeNAに期待されているユースケースの一つとしては、エンターテイメント領域での活用があるのではないかと思います。

実際に、DeNAではPICKFIVE、PLAYBACK9、NFTコレクションとブロックチェーン技術を用いたアプリケーションを展開しています。今回はメタバースというテーマでもあったため、エンタメとしてブロックチェーンの活用用途として、フィジカルやデジタルが相互に接続するための相互運用性を中心にお話をしました。

まず、冒頭ではMetaのHorizonWorkroomsを用いて自己紹介を行いました。バーチャルの黒板に自分の名前を書いたり、ハンドトラッキングによって身振り手振りをしながらお話をする様子を見てもらいました。MetaQuest2を持ってきたのには理由があり、以前、社外のメタバース勉強会を開催した時に、対面でメタバースを語ることに違和感を感じたことがあった為です。パソコンを説明する時に、紙の教科書で説明するよりも、パソコンを通じて説明する方が身近に感じられ、理解しやすいように、メタバースについても、メタバース空間内で説明をすることが重要ではないかと感じています。

Mozilla Hubs上のワールドに謎のオブジェクトが配置されてました(笑)

Mozilla Hubs上のワールドに謎のオブジェクトが配置されてました(笑)

MetaQuest2を全員分用意できればよかったのですが、難しかった為、学生のみなさんには手持ちのPCを使って、Mozilla Hubsにログインして、メタバース空間に入ってもらいました。ログイン方法だけ説明をしたのですが、あっという間に、壁に絵を描いたり、謎のオブジェクトが設置されたりとお祭り騒ぎとなりました。

手元のマウスをスキャンしてみる様子

手元のマウスをスキャンしてみる様子

デジタルからフィジカル、そしてフィジカルからデジタル、ブロックチェーンをもちいることで様々な空間でアセットを双方向に表現できるという点について説明しました。マルチバースと言われる異なるデジタル空間上にもデータが受け渡せることの説明に、Mozilla Hubsの3Dデータの配置機能を用いました。

また、デジタルからフィジカルへの移動には、ARや3Dプリンターなどを使ったQRコードマーカーを使ったデモンストレーションと、事例を紹介しました。最後に、フィジカルから、デジタルへオブジェクトを持ち込むために、LiDARなどの活用によってリアルな空間をデジタル空間に移すことを体験しました。ネットワークが細かったこともあり、スキャンしたオブジェクトをメタバースに持ち込むところまでは実施できませんでしたが、データをスキャンしてアプリ内で確認するところまでは試すことができました。

後ほど伺った話で、河村研究室では、トンネルや橋などの検査などに、画像診断などを使うことがあるとのことでした。将来的には、Lidarなどの技術を調査目的としても使われる可能性があるのではないかと思い、ブロックチェーン同様にして、センサーなどを使った技術も、エンタメからインフラまで幅広い活用方法を学生の方は学べると良いのではないかと思いました。

Web3をエンジニアとしてみる場合に、様々なハードルがあることを知っておくことも重要です

Web3をエンジニアとしてみる場合に、様々なハードルがあることを知っておくことも重要です

前半60分、後半20分、合計80分の講義を通じて、他にもDeNAのWeb3の事例や、ブロックチェーン技術が世の中にどのように活かされているか、技術としてのテクノロジースタックなど、幅広く説明をさせていただきました。

スマートコントラクトハンズオン(エバーシステム白濱さん)

エバーシステム白濱さんによるIOSTのスマートコントラクト講座

エバーシステム白濱さんによるIOSTのスマートコントラクト講座

さて、私のパートでデジタルから、フィジカルまで様々な追跡(トレーシング)を行うことの説明を行いましたが、実際にアプリケーションを構築するには、スマートコントラクトを書く必要があります。オブジェクトのハッシュ値をブロックチェーンに書き込むことで、はじめてデータは、様々なアプリケーションから利用することができるようになる為です。

エバーシステムの白濱さんによるスマートコントラクトの実践講座が行われました。今回使われたブロックチェーンは、IOSTというブロックチェーンです。IOSTの特徴として、スマートコントラクトはJavaScriptで書くことができます。EthereumのSolidityやFlowのCadenceのように、開発者は新たな言語を習得することなく、普段利用しているNodeJsなどを用いることで、コントラクトの開発を行うことが可能となるのは非常に大きなメリットであると言えます。

学生の方の多くはCやJavaなどの言語は習得されている方が多い印象でしたが、JavaScriptは日常ではそこまで使うことがないため、NodeJSのインストールなどの基礎的な部分から、白濱さんや、和田さんがサポートに入りながら説明されていました。私は日頃、Solidityか、Cadenceでコントラクトを書くことが多いのですが、IOSTのJavaScriptによる記法は非常にわかりやすく、環境もNodeJSやDockerなどで手軽に構築できるため、アプリケーションなどの開発観点では良い選択肢になるのではないかと思いました。

クイズ(SEYMOUR INSTITUTE 太田さん)

最後に授業の全体を通じたクイズが行われました。授業で話した内容から、数問ずつクイズが出され、1位の方にはJBA(一般社団法人 日本ブロックチェーン協会)から提供されたTシャツが提供されました。

Conclusion

お昼ご飯はピザ。Bitcoin Pizza Dayを意識したもの?かどうかはわかりません^^

お昼ご飯はピザ。Bitcoin Pizza Dayを意識したもの?かどうかはわかりません^^

最後に記念写真を撮影。お盆休みの貴重な時間をありがとうございました。

最後に記念写真を撮影。お盆休みの貴重な時間をありがとうございました。

午前10時から夕方5時まで、長い一日でしたが、山口大の学生の方は、講義を聞いたり、スマートコントラクトの体験を行うなど、みなさん集中して取り組んでいただきました。コロナという中で、私自身も、事前に体調を整えたり、朝、コンビニで消毒液を購入して持ち込んだり、久しぶりのリアルイベント開催に、とても緊張しましたが、無事にすべての工程を終えることができ、ほっとしています。

スポット的な開催であったこともあり、私も事前に余裕がなく、ネットワークや使用されるPC環境などの調査が十分ではなく、用意していたコンテンツが十分に活かせなかった点や、MetaQuest2やiPhoneのLiDAR搭載機も今回は7台しか用意できなかったため、もっと台数用意して、多くの時間を触れるコンテンツなど充実させたかったなど、その夜、宿泊した山口のホテルで、一人反省会をしたのですが、それでも、ピザを食べながら、学生の皆さんから、熱心にたくさん話しかけていただいたのは、私にとって何ごとにも変えられない貴重な経験となり、本当に嬉しかったです。

リハーサルなどもなかった為、ぶっつけ本番で、全体を通しては、ちょっと長かったかもしれないなとも不安に思いましたが、最初から最後まですべての学生さんが集中して授業を受けられていたのは印象的でした。おかげさまで、私も全力で講義でお話をすることができました。本当にお疲れ様でした。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
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