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2021.04.01 イベントレポート

多良木の子供たちと未来のバーチャルペットをつくってきました

by Fumitoshi Ogata

#education #programming-seminar #blockchain #microbit #AI

技術開発室の緒方です。

一般財団法人たらぎまちづくり推進機構が主催する多良木「プログラミングワークショップ」にて、DeNAの講師として、「AI・IoTを用いた未来のバーチャルペットを作ろう」という授業を行いました。 その内容などについて書きたいと思います。

はじめに

今回の目的は、子供達に「最先端の技術分野に触れる体験を提供すること」でした。一言に先端技術といっても、様々なものが思い浮かぶと思いますが、主に、下記のポイントを踏まえて、教材を設計することになりました。

  • 普通のプログラミング教室ではできない”ワクワク”を体験できる
  • 完全リモート授業、幅広い年齢層が参加するために無理のない環境と構成である
  • 授業後も興味のある生徒は、自分のPCを用いて同じ環境を作成することができる

小中学校で「1人1台」パソコン配備が始まる中、子供達にとってプログラミングはより身近なものになってきています。そのような中で、プログラミングからさらに一歩踏み込むような内容を子供達に知ってもらいたいと考えました。

バーチャルペット

参加者たちが自分たちで考え、発想力や創造力を活かせるような教材として“バーチャルペットを作ろう”というテーマを設定しました。近年のテクノロジーは一つの技術だけではなく、技術の掛け合わせ(集合体)で実現されています。目、耳、口、手というようにペットの機能を分解し、様々など技術的なアプローチによって、それぞれの要素を参加者自身の手元で動かして確認できるようにしました。また、アメリカで実践されているSTEM教育をイメージしながら、ペットを作るというゴールに対して、参加者によって様々なアプローチができるようにしました。

※ STEMはScience・Technology・Engineering・Mathematicsの頭文字

Scratch + AI

AIは一部の技術者だけのものではなく、TensorFlow.jsなどを利用することで誰もが簡単にAIを体験することができます。授業では子ども向けプログラミングツールであるScratchからTensorFlowの機械学習を実行する環境を用いて、コンピュータービジョンを体験しました。バーチャルペットに対して、最初は、「ぐー、ちょき、ぱー」のような簡単なものを覚えさせることに始まり、事前に用意していた動物フィギュア、トレーディングカードのようなものまで、画像の判定機能を自由に作成してもらいました。他にもマスクの着脱の有無を判定することや、体の位置情報を用いて、着せ替えアプリを作成することなどを体験しました。

micro:bit

近年では、オートモーティブや、ヘルスケアの文脈でも語られるように、プログラミングはPCの中だけで完結するのではなく、身の回りの様々なものと連携することによって我々の生活に様々なメリットを生み出します。このようなことを体験するために、micro:bitというマイコンボードを体験してもらいました。micro:bitはイギリスのBBCが主体となって作った教育向けのボードでLEDと2個のボタンスイッチ、加速度センサと磁力センサ、無線通信機能(BLE)を備えています。価格も1枚2000円前後という金額で入手ができます。今回はこの授業のために、参加人数分のmicro:bitを購入し準備しました。

授業の中では、センサーを傾けることでロボットを右や左に動かすプログラムを作成しました。また、加速度センサーや、光センサーなどを用いてどのようなものが作れるかを一緒に考えました。

Blockchain + 受講証明書

私が技術開発室で行なっている研究でもあるブロックチェーンのトレーサビリティの体験として、ブロックチェーン受講証明書の配布を行いました。紙の受講証明書にブロックチェーンのハッシュデータが埋め込まれたNFCタグを貼り付け、受講者に配布しました。受講者はこれらのハッシュデータによって、世界でたった1つ存在する自分のものであることを証明することが可能となります。またこのハッシュを保管しておけば、紛失した場合なども受講データの復元を行うことが可能となります。普段子供達が触ることとのない技術も、このような活用法によって、より身近に感じられたのではないかと思います。

フルリモートでの授業

緊急事態宣言の中で、フルリモートでの開催であることは、講師にとっては、大きな挑戦となりました。参加者は小学校~中学生と幅広くコンピューターの経験も様々でした。そんな中、講師である私たちは生徒一人一人の手元を一切見ることはできません。途中で詰まっても一人にかかりきりになれないため、工程を細切りにし、クラッシュアンドビルドの形をとることで、迷ったら何度でもスタート位置戻ってリスタートできるようにしました。PCとMicrobitのセットアップについても、当日、会場でトラブルが起きても対応ができないことから、機材全台の接続チェックを郵送の前後に念入りに実施しました。フルリモートのなかでは、特にmicro:bitというハードの利用が、準備工数を大幅に増やしてしまったのですが、どうしても子供達に体験して欲しいと思い、準備に挑みました。授業の直前までmicro:bitの故障や、接続のトラブルを心配していましたが、事前準備のお陰でトラブルは一切なく、子供達の驚く顔を見ることができたので本当に実施してよかったと思いました。

2031年の未来を考える + DeNAプログラミングゼミ

今回の多良木の試みでは、私の授業以外にも、田中さんによる、”未来は創れる、2031年のナニカを考えよう”や、末広さんによる”プログラミングゼミでたまごキャッチゲームを作ろう!”( https://programmingzemi.com )という授業を行いました。様々な角度からの授業を通じて、テクノロジーに対する子供達の理解が深まったのではないかと思います。

Conclusion

今回の授業は年末にお話をいただいたので、年末年始の休暇中に、今回利用したScratchやMicrobitを始め、Minecraft: Education Editionや、IoTブロックMESH、M5Stack、RaspberryPiなどあらゆる教材を自身で購入して試しました。私にも3歳の息子がいて、彼がもう少し大きくなった時に、どういったテクノロジーに囲まれているのかを想像しながら、授業のカリキュラムを作ることは、非常に素晴らしい体験でした。日々、技術は時代とともに進化します。子供達の興味関心は大人よりも敏感で、時には、我々の想像を遥かに超えていくかもしれません。多良木の子供たちにとって、今回の授業が新しいモノづくりの一つのきっかけになれば嬉しいと思います。


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