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2025.10.15 イベントレポート

Fluttercon Europe 2025 登壇&参加レポート!

by Sugiy/Yugo Sugiyama

#flutter #mobile #ftcon25eu #conference #Germany #LiveStreaming

はじめに

こんにちは、 Sugiy(すぎー) です。DeNAで play-by-sports というFlutter製のスポーツ系のライブ配信アプリの開発に携わっており、個人ではSwiftも触っていて、iOSやSwift系のカンファレンスに登壇したりしています。 先日はAppleVisionProのハンドトラッキングについて、iOSDC Japan 2025にも登壇していました!(登壇レポートは こちら )
弊社内定者インターンのエンジニアが書いた 内定者インターン生がiOSDC Japan 2025に参加!10周年の熱気に満ちた3日間の参加レポート by Yuichiro Kabutan もぜひ見てみてください!

今回はDeNAの国際学会派遣制度1を活用して、ドイツのベルリンで開催された世界最大級のFlutterのカンファレンス「Fluttercon Europe 20252」(2025/09/24-09/26)で登壇&参加してきたので、その内容をシェアします!

Fluttercon Europeで登壇することになった経緯

私は元々Flutterconの存在は知っていましたが、最初は登壇する予定ではありませんでした。
しかしCFPを申請していて、結果的に一緒に採択されて、共にドイツに行くことになった ルーカスさん ちゅーやんさん に、「一緒にCFP出しましょうよ!」と言われ、ノリと勢いで出すことになりました笑
ただ冒頭で話した通り、私は今年はすでにiOSDC Japan 2025(2025/09/19-09/21)のプロポーザルも提出していて、両方採択された場合、かなりスケジュール的にタイトになりそうという懸念がありました。
しかし「両方採択されたら、その時考えましょう!笑」と言われ、採択されるか分からないし、ギリギリなんとかなるだろう!と私も思い、自身が関わっているプロジェクトについてのCFPを提出しました。

結果としてはありがたいことに、両方採択され、実際にその大変なスケジュール調整と両方の登壇準備を並行ですることになり、かなり忙しい夏でした笑
実際このようなカンファレンスの登壇などで重要なのは本当に「ノリと勢い」です。
カンファレンス登壇したいけどCFPやプロポーザルを提出しようか迷っている人がいますが、提出しないと採択される可能性は0%なので、まずは思い切って提出してみることが大事です!
その一歩から人生やキャリアが変わることもあるかもしれません。

Fluttercon Europeについて

Flutterconは世界中のFlutter開発者が集まる国際カンファレンスで、Fluttercon Europeはドイツのベルリンで開催されています。
アメリカでも Fluttercon USA が開催されていましたが、今年はインドでも Fluttercon India が開催されるようです。
droidcon というAndroidコミュニティのカンファレンスと一緒に開催されていて、Flutterconだけでも約1000人規模ですが、droidconの参加者も含めると合わせて数千人規模のカンファレンスになります。

Fluttercon Europe集合写真

来年はさらに規模を拡大して、 next.app devcon としてAndroidやFlutterだけでなく、SwiftやReactなども含めたカンファレンスと進化させるとのことで、もっと大規模で、大盛り上がりのカンファレンスになりそうです!

next.app

会場の様子

カンファレンスの会場は以下の図のようになっていて、エントランスがある階を含めた4フロアありました。
施設内の図 エントランスの様子

受付でもらったノベルティはこんな感じです! 会場内にいくつかウォーターサーバーもあったので、ドリンクボトルは期間中とても活躍しました!

ノベルティ

一番下のA LEVELはスポンサーブースや大きなセッションルームがいくつかあり、Fluttercon用のWIDGET WAYという広い部屋が1つ、droidcon向けの部屋がいくつかあるフロアーです。
Keynoteはこの部屋で実施され、Day2の私の発表もこの部屋で実施しました。

WIDGET WAY

他にもFLUTTER FORUMというパネルトークやディスカッションのような、よりカジュアルなイベントをするためのコーナーもありました。

セッションルームの外のLEVEL Aはこんな感じです。
天井が高く、とても開放感がありました。
LEVEL A

車を展示しているブースがいくつもありました!
ブース自体の規模の大きさにも驚きます! 車のブース展示1 車のブース展示2

スポンサーブースの中にはFlutterコミュニティのブースもあり、そこではクイズ企画をしていたり、Flutterについての技術相談もしていました。

B Levelにはとても広いホールのようなエリアがあり、そこではランチをしたり、いくつかのスポーツエリアがあって、参加者同士で交流できるようになっていました。

Level Bのホール

有料ですが、カンファレンスから提供されたランチ以外のものが食べられるフードトラックもありました。
奥のトラックではドイツ名物の カリーヴルスト というソーセージの料理を食べることができ、初日に食べましたが絶品でした! Level Bのフードトラック

M LEVELは少し小さめな部屋が3つあり、Flutterconの参加者は基本このLEVEL MとLEVEL Aを行ったり来たりして、色々なセッションに参加していました! Level M

会場のあちこちにマリオカートをするエリアもあり、LEVEL Bのスポーツエリア同様、参加者がカジュアルに交流できる場所がたくさんあるのも面白いなと思いました!

ブースエリア内のマリオカートプレイエリア LEVEL Aのホール外のプレイエリア
マリオカートプレイエリア1 マリオカートプレイエリア2

セッションやイベントは4~6個並列実施!

タイムテーブル を見ると分かりますが、このカンファレンスでは基本セッションやプログラムが同時に4~6個展開されます。
そのため基本リアルタイムに全てのセッションを見るのは不可能なので、

  1. 自分が気になるセッションを見る
  2. ブースを見て回る
  3. 他の参加者・登壇者と交流する
  4. 登壇者は登壇の準備をする

をバランスよくしながら過ごすことになると思います。
ただこのイベントは世界最大級のFlutterエンジニアのイベントということもあり、著名なFlutterチームのエンジニアや、有名なOSSや世界各地のFlutterコミュニティのオーガナイザーの方も参加しています。
また、世界中から普段日本ではリアルで交流しにくいエンジニアとも話すことができます。
そのため、そのようなエンジニアと対面でコミュニケーションすることを大事にするのも良いと思います!
実際、私も様々なエンジニアと話したり、時にはブースで質問したりして、色々な情報や知見を得ることができました!

飲食系

会場内では水やコーヒーのドリンクと一緒にパンやケーキなどの軽食がありました!

会場内の軽食

ただこれについては日本のカンファレンスでもよく見られる光景ですが、驚いたのは会場のあちこちに果物(人参などの野菜も一部含む)が入ったカゴがあり、参加者が自由にピックアップして食べられるようになっていました。
ホテルのフロントにも同様のカゴがあったのですが、ChatGPTで調べたところ、これはヨーロッパ圏の文化みたいです。
自分はバナナを1本食べましたが、会場内で食べてる人は結構いました(人によってはトイレで洗ってから食べてる人もいました笑)。

会場内の果物

期間中に配布されたランチはこのようなワンプレートでの提供で、毎日違う料理が提供されていました! ランチの様子

カンファレンス公式のアルバムもあるので、気になる人はこちらも確認してみてください!

droidcon Berlin & Fluttercon EU 2025

今回の登壇内容

今回私が発表したのは「The Flutter Journey of Building a Live Streaming App — With a Side of Performance Tuning」というタイトルの40分トーク(Q&Aの時間込み)です。
トークタイトル

内容としては冒頭の自己紹介で触れた、私が現在DeNAで開発している play-by-sports というライブ配信アプリの開発の以下の点について話しました。

  1. どのようにFlutterで実装しているのか
  2. 内部で利用しているiOS/AndroidネイティブのSDKとの連携処理をどのように実装したか
  3. パフォーマンス上の課題をどう改善したか

すでにアーカイブも公開されています。

発表スライドをチェックしたい方は以下を参照してください。

発表自体は概ねうまくいきましたが、発表中にトラブルがあり、発表中に誤ってプレゼンテーションモードを終了するキーを押してしまい、プレゼンテーションモードが終了する&タイマーがリセットされてしまいました。
ただ慌てても仕方ないので、心の中で素数を数えながら深呼吸して再度発表を再開しました。
ただ再発防止として、今度は手持ちのリモコンを購入しよう!と強く決意しました!笑

発表が終わった後に記念に写真を撮らせてもらいました!
日本でのカンファレンスでも同じですが、みなさんとても優しく、またノリもいいので、とても発表しやすく、楽しい時間でした! 発表後の写真

発表後のQ&Aでも多くの人が質問に来てくれました。
英語でのやりとりは大変でしたが、相手の方もゆっくり話してくれたり、どうしても難しい時はルーカスさんに助けてもらったりしながら、一番不安だったQ&Aの時間も無事終了しました!

後述のアフターパーティなどでも多くのエンジニアに「トーク見たよ!」と話しかけてもらえて、とても嬉しかったです!

気になったセッション

多くのセッションがあったので、全部はもちろん見切れなかったですが、気になったセッションをいくつか記載します。
今年はアーカイブの公開が早く、徐々にセッション動画がYouTubeにて droidcon&flutterconのプレイリスト が公開されているので、こちらの中で気になるものを見てみてください!

Flutter Widgets Probably Haven’t Heard Of

Majidさん のトークは、 FlutterNinjas2025 でも発表を聞き、発表内容が面白く、話し方もわかりやすかったので、このトークも見に行かないと!と思い、見に行きました!
自分が知らないWidgetやその使い方についても知ることができ、そして発表自体も非常に分かりやすいものでした!

Test Semantics with Golden Tests

Sandraさん のアクセシビリティのSemanticsの実装に対して、Golden Testをどのように適用するか?というテーマのトークでした。
元々アクセシビリティの実装については興味を持っていました。
また弊社にもアクセシビリティについて話すSlackチャンネルがあって、そこでアクセシビリティについて話すこともあり、個人的にはホットトピックだったので、見に行きました!
個人的には日本だと開発時にいわゆるアクセシビリティ対応を重視することは少ない印象がありますが、海外だとアクセシビリティ対応の重要度はかなり高く、EUだと法的なアクセシビリティの規制もあります。
そのためエンジニアもアクセシビリティについての興味関心が高い人が多いのかな?と思っていましたが、会場の参加者も気持ち多めで、注目度が高いセッションという感じがしました!

Test Semantics with Golden Testsのトーク前の写真

また別途App Audit — Acing Your WCAG Accessibility Auditというプログラムもあり、日本よりもアクセシビリティについての温度感が高いのかな?と身をもって感じました。

お会いしたエンジニアの方々

Simonさん

Simonさん は、Flutter関連のYouTubeやサイトで見たことある人も多いと思いますが、毎週YouTubeLiveで視聴者からの質疑応答を実施したり、ライブコーディングでの解説を行なっている著名なFlutterエンジニアの一人です。
今回のカンファレンス内でもSimonさんのライブコーディングの枠が2つあり、多くの人が一緒にライブコーディングをしていました!
Simonさんは上述のFlutterブースにもいらっしゃって、私はそこで発表でも話した現在開発に関わっているアプリの実装について、相談しました。
手書きのイラストも使いながら、少し英語が不安な私にも分かりやすく説明していただき、とても勉強になりました!
発表後の写真

最終日のパーティーの前に少し時間があったので、ホテルに帰って少し休憩しようと思ったら、ホテルの前で偶然Simonさんたちとお会いし、「パーティー前にちょっとご飯に行こうと思うけど、一緒に来る?」と言われたので、これは行くしかない!と思い、同行していた ちゅーやんさん と一緒に5名でイタリアンを食べに行きました!
その場ではあまり技術的な話はせず、主に日本のこと、特に漫画やアニメのことで盛り上がりました笑
かなり日本の漫画やアニメについて詳しく、多くの日本人より詳しいのでは?と感じるほど、とてもアニメや漫画に愛情と尊敬を持っていることが伝わってきました!

Majidさん

以前日本で実施された FlutterNinjas2025 やその後の Flutter Tokyo でもお会いしたことがあった Majidさん 。 初日のオープニングでも前述のSimonさんとトークをされていました。

前述のFlutter Widgets Probably Haven't Heard Ofのトークを ルーカスさん ちゅーやんさん と最前列で見ていたのですが、トークが終わった後に私たちの方に来て、「やあ、日本から来たみんな!」と英語で言いながら私たちとハイタッチをしてくれました!
非常に気さくで、また発表のスタイルも非常に分かりやすくて、かつ面白く、セッション参加者としては非常に楽しく参加できるもので、いつもすごい方だなと尊敬していました!
Flutterエンジニアだけでなく、登壇者という視点でも、とても学ぶことが多い方です!

カンファレンスの関連イベント

カンファレンス本編以外にもいくつか関連イベントがあったので、紹介します! カンファレンス公式のイベントではなく、企業主催の懇親会イベントがいくつか開催されていました!
日本のカンファレンスのように、知り合いのエンジニアがいて、気軽にご飯を食べに行こう!と話をするのはハードルが高いので、色々なイベントがあり、他の参加者とコミュニケーションできるのは非常にありがたかったです!

カンファレンス前日のスピーカーディナー

Flutterconとdroidconのスピーカーが招待されたスピーカーディナーがあったので、参加してきました!
会場はベルリンの コンピューターゲーム博物館 です。

スピーカーディナー会場 ゲーム展示

日本や世界の過去の様々なゲームが展示され、また一部は遊ぶことができる場所で、懐かしさとエモさに浸りながらビールで懇親するという非常に面白いイベントでした!

会場内で雑談するエンジニア

Day1のCodemagic Happy Hours

Codemagic 主催のパーティーに参加しました!
Café am Neuen See という場所での実施でした!
カフェと書いてありますが、夜は外でカジュアルにビールを飲めるビアバーみたいな雰囲気で、池のほとりでゆっくり飲めるおしゃれな場所でした!

会場内で雑談するエンジニア

Day2のVery Good VenturesとShorebirdのOfficial Fluttercon After Party

2日目は Very Good Ventures Shorebird が主催するイベントに参加しました!
会場はDay1のパーティーと同じ Café am Neuen See でした!

Day3のWidgetbookのGet together after Fluttercon

Day3は Widgetbook が主催するイベントに参加しました! 会場は Birgit というビアガーデンでの実施でした!
色々なお酒がありましたが、 ルーカスさん に教えてもらったライム風味のレモネードが美味しかったです!笑

海外カンファレンスだからこその準備

LinkedInのアカウントの準備

少なくとも自分が普段参加している日本のカンファレンスではX/Twitterのアカウントをシェアすることが多いですが、海外ではLinkedInのアカウントをシェアすることが多いです!
そのため他のエンジニアと話す流れで、「LinkedInのアカウント教えて!」という流れに自然となります!
したがってLinkedInのアカウントを作っておいて、かつアカウント名などは日本語ではなく、英語アカウントにしておいた方が海外のエンジニアとのコミュニケーションはスムーズにいくかなと思います!
私は元々アカウントは作っていましたが、ほとんど運用しておらず、かつプロフィールがほとんど日本語になっていたので、現地で慌てて英語に変更しました..!( Sugiyのアカウント )

コミュニケーションスキルとしての英語

当然ながら海外カンファレンスでのコミュニケーションは基本的に英語で行います。
セッションを見る時も英語で聞き、登壇する時も英語で話し、日常的なコミュニケーションも英語で行います(日本に近いアジアだと同時通訳があるかもしれません)。
そのため英語力(スピーキングとリスニング)がないとカンファレンスを100%楽しむのはかなり難しく、私のように多少のコミュニケーションができる状態でも、時々会話や話している内容がわからず、コミュニケーションが途切れてしまうこともあります。
特に現在のコミュニケーションのコンテキストを把握するために、リスニング力はより重要かなと感じました(コンテキストさえ理解できれば、カタコトの英語でも話すことで、会話はなんとか成立します)

ただ1つ大きくポジティブに想定外だったのは、「日本からきたよ!」というと、海外の人は日本に興味がある人が多く、それだけで会話が弾むということです!
実際には興味があるだけではなく、日本に実際に来たことがあったり、仕事をしていた人もいました。
そのため日本の文化や観光、食など色々な話題で盛り上がりました!(Simonさんのように、かなりコアな漫画やアニメの話を知っている人も多く、驚きました)
また時期的に大阪万博に行ったことがある人もいて、これから参加する予定の私におすすめのパビリオンを教えてくれた人もいました!

このように「日本人」というだけで、非常にコミュニケーションがしやすい場面が多く、打ち解けやすい場面が多かったです。
基本的に相手の人も「この人英語が苦手そうだな」とわかるとゆっくり話してくれる人も多いですが、やはり英語力は高い方がより深くコミュニケーションができるし、技術的な話も深掘りやすく、よりカンファレンスを楽しみやすいことは間違いないので、少しでも英語力は鍛えておいたほうがいいと思います!

まとめ

今回初の海外カンファレンス参加&登壇をしてきました!
iOSDCから帰宅することなく、ダイレクトにFlutterconに向かうスケジュールだったのに加え、ヨーロッパ自体に行くのも初めてだったので、カルチャー面でも、英語でのコミュニケーション面でも不安は多かったですが、無事終わり、多くの得るものはあったかなと思います!
これは日本のカンファレンスでも同じですが、スピーカーとして参加したことで、「トーク見ました!」、「どんなことを話したの?」というように、スピーカーだからこそ生まれるコミュニケーションがあり、より深く他の参加者と話すことができました。
多くの参加者と話す、顔を覚えてもらうということを重要視するのであれば、一般参加者よりはスピーカーとして参加した方が、登壇実績という点も踏まえて、個人的にはおすすめだと思います。

またこれも日本のカンファレンスと同様で、基本的に皆さん優しく、基本的な礼節がある人がほとんどです。
そのため困っていそうなら助けてくれる人はいるし、誰かに聞けば助けてくれます。
色々不安に感じることはあるかもしれないですが、海外カンファレンスは日本のカンファレンスとは違う刺激や経験を得られるので、ぜひ1度は行ってみてください、可能ならスピーカーとして参加してみてください!

Fluttercon Europe 2025のカンファレンスの様子がもっと見たい方は、日本から一緒にFluttercon Europe 2025に参加・登壇した ルーカスさん ちゅーやんさん の記事も見てみてください!

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
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