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2025.08.29 技術記事

炎上もBANも未然に防ぐ!DeNAがCEDEC2025で語った「社会的品質」への取り組み

by Teruaki Hanafusa

#cedec #qa #ethical-review #apple #guideline #social-quality

はじめに

はじめまして、DeNA 品質管理部 の花房です。 この度、CEDEC2025に登壇する機会を頂戴しまして、2025年7月24日に「社会的品質」に対する取り組みをご紹介させていただきました。

CEDECをご存じでない方もいらっしゃるかと思いますので、簡単にご紹介いたします。 CEDECは「Computer Entertainment Developers Conference」の略称で、ゲーム開発者を対象とした日本最大級の技術交流会・カンファレンスです。 ゲーム業界の最新技術や開発ノウハウを共有することを目的として、一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)が主催しています。

本ブログでは、当日の講演でお話し切れなかった内容について補足させていただければと思っております。

社会的品質に対する取り組み

セッションでは、DeNAの社会的品質に対する取り組みについてご紹介させていただきました。

<セッション概要> ビジネスを守る社会的品質のアプローチ~炎上リスクを回避する秘訣~

社会的品質とは、プロダクトが社会や環境のニーズを満たすことであり、企業が継続的にビジネスを行うために意識すべき品質モデルのひとつと捉えています。 DeNAの品質管理部では、ソーシャルQAグループの中でプレサートチーム、倫理校正チームというふたつの専門チームがプラットフォームや業界団体、社内ルール、社会的な倫理規範などに関連する規約違反やレピュテーションリスクを未然に防ぐ活動を行っています。

セッションの中では「BANリスク」と「倫理リスク」についての詳細な取り組みをご紹介いたしました。

「BANリスク」とはAppleやGoogleのガイドライン違反によりアプリやデベロッパーアカウントが削除されるリスクとし、DeNAは企画書・仕様書段階でのレビューや、開発スケジュールに合わせた実機検証を原則的に実施することでリスク軽減に繋げています。

「倫理リスク」とは公序良俗や道徳に反する描写、すなわち不特定多数の誰かを傷つける描写を行うことで発生するリスクとし、「自分たちがどのポジションなのか」を認識し「反対の要素で表現しない」という2つのポイントについて解説いたしました。

早期にガイドラインリスクの検出を

品質管理部のQCグループが「アプリが仕様通りに正しく動作するか」をチェックする専門家であるのに対し、プレサートチームは「アプリがAppleやGoogleのルール(ガイドライン)に準拠しているか」をチェックする、いわば【ストアガイドラインの専門家】です 。

そんなプレサートチームが主に実施している取り組みのひとつ、BANリスクの低減施策について登壇させていただきました。アプリやデベロッパーアカウントに対してBANを受けてしまうと、事業の継続そのものが困難になってしまうため、特に避けるべきリスクと言えます。 「何を以てしてBANリスクとして定義しているのか?」「どのようにリスクの検出を行っているのか?」など、DeNAがガイドラインリスクに対してどのような対応を行っているのか、CEDEC2025では、その一端を知っていただけたと思っています。

プレサートチームでは、企画や仕様書といった開発の上流工程から関わり、早期にガイドラインリスクを発見することが重要だと考えています。 アプリを開発していく中で「これってガイドライン的に大丈夫かな?」と少しでも疑問に感じたとき、今回の登壇内容が解決の一助となり、大きな手戻りを防ぐことができれば幸いです。

倫理の啓蒙・周知に関する重要性について

CEDEC2025では倫理リスク軽減の取り組みについて登壇させていただきました。 倫理リスクは一度学んで終わりというものではなく、日々アップデートしていく必要があります。また、その倫理観・価値観は地域によっても異なることから、常に情報に対してアンテナを広げていることが大切です。

そして倫理リスクは誰か1人がわかっていればよいというものではなく、情報の収集と同様に周囲への啓蒙・周知をセットで行う必要があります。必ず制作物が倫理チェックを通るフローになっていればリスクを軽減させることができますが、そうではない場合は、たとえその制作物に多くの人が携わっていたとしても、そのまま世の中にリリースされてしまい、結果炎上してしまうということがとても多いです。

啓蒙や周知は、業績の向上などの数字に直結するものではなく、その効果もわかりにくいものです。また、「何も起こらないこと」がゴールであることから、手ごたえを感じにくく、取り組みのなかでもどうしても後回しにされてしまう傾向があります。 ですが、この地道な活動が社会的品質の向上につながり、企業を長く存続させることに貢献していることは間違いないと考えています。ぜひ、みなさんの身の回りでも、引き続き、こうした取り組みに目を向けていただけたらと思います。

さいごに

講演の中の質疑応答で複数のご質問をいただいたり、講演後には同じような悩みをお持ちの方と意見交換させていただき、非常に有意義な時間を過ごすことができました。

社会的品質の向上は単に炎上リスクを回避するだけでなく、ユーザーの皆様に安心感と信頼をもたらし、ひいてはよりよい社会の価値観を創造することに繋がると信じています。 今後ともDeNAはよりよいプロダクトの提供のために、社会的品質への取り組みを推進してまいります。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
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