はじめに
こんにちは、DeNAでAI研究開発エンジニアをやっている鈴木( @x_ttyszk )です。
DeNAがプラチナスポンサーとして協賛した 第31回画像センシングシンポジウム(SSII2025) に5月28日~30日の全日程参加してきましたので、DeNA社員が登壇した技術動向解説セッション「横浜DeNAベイスターズの躍進を支えたAIプロダクト」、企業展示ブース、聴講したセッションなどについて紹介していきます。

SSII2025について
SSIIは画像センシング技術を軸として、機械学習・パターン認識・人工知能(AI)などに関わる研究者、技術者、企業が一堂に会し、最新の研究成果や技術動向を発表・議論する国内有数のシンポジウムです。例年パシフィコ横浜で6月の中頃に開催されてきましたが、今年はその時期ですと同じ領域の国際学会であるCVPR2025と日程が重複してしまうということで、5月に東京ビッグサイトでの開催でした。
DeNAはスポーツやライブコミュニティなど様々な事業領域で画像認識・コンピュータビジョン技術を積極的に活用していますので、この分野の発展に寄与すべく協賛させていただきました。

技術動向解説セッション「横浜DeNAベイスターズの躍進を支えたAIプロダクト」
5月29日の技術動向解説セッションでは、DeNAの大西が「横浜DeNAベイスターズの躍進を支えたAIプロダクト」と題し、チーム強化に活用されているAIプロダクトについて講演を行いました。
講演ではキャッチャーのブロッキングスキルなどを評価する「Catcher skill metric」、投手の狙ったところに投げる能力を測定する「投手コマンド」、そしてバッターのスイング動作を解析する「スイング動作解析」といった具体的なAIプロダクトを紹介しました。これらのプロダクトは、単にデータを提供するだけでなく、可視化まで一貫して作成することで、詳細な分析や選手への具体的なフィードバックを可能にしています。さらに、AIプロダクトを真のユーザー価値に繋げるためには「プロダクトマネジメント」と「アジャイル」が重要であることについても紹介しました。
なお、横浜DeNAベイスターズにおけるAI活用については2025年2月に開催したDeNA × AI Dayでも大西が紹介しています。こちらもぜひご覧ください。
DeNAスポーツ事業戦略とベイスターズAI強化プロジェクト - DeNA × AI Day ‖ DeNA TechCon 2025
企業展示ブース
5月30日には企業展示ブースを出展し、プロバスケットボールチーム川崎ブレイブサンダースや、キャラライブアプリIRIAMにおけるコンピュータビジョン活用事例のデモ展示を行いました。多くの研究者・学生のみなさまに訪れていただき、コンピュータビジョン技術やAI活用に関しての議論を活発に行うことができました。普段の業務では得られない気づきも多く、大変有意義な場となりました。

ブースで紹介した技術に関連する内容は過去のブログでも取り上げています。こちらもぜひご覧ください。
- バスケットボール試合映像を用いたボールトラッキングデータの作成 | BLOG - DeNA Engineering
- キャラライブアプリIRIAMにおけるフェイストラッキング改善の取り組み | DeNA×AI WORKS
セッション聴講
連日様々な講演・発表を聴講させていただきましたので、個人的に印象に残ったものをピックアップして紹介します。
「光学・物理原理に基づく深層画像生成」
日本電信電話株式会社の金子様から、光学と物理原理を組み合わせた深層画像生成についての講演がありました。近年高精細な画像の生成が可能になってきていますが、重力や反射などを反映した、光学・物理学的に自然な生成にはまだ課題があるとして、光学・物理原理を取り入れた深層学習モデルが紹介されました。光学原理に基づくモデルとしてはNeRFや3DGS、物理原理に基づくモデルとしてはMPMが事前知識として解説された上で、これらの原理を応用した具体的手法としてPhysGaussianなどのフォワードエンジニアリング手法やSfC-NeRFなどのリバースエンジニアリング手法が取り上げられていました。注目度の高い画像生成における最新の研究ということで非常に興味深い内容でした。
「量子化手法の概要とエッジ開発における課題」
5月28日のオーガナイズドセッションでは「LLM/VLMのエッジ推論に向けて」として大規模モデルをエッジで効率的に推論するための技術について3件の講演が行われました。そのひとつとして、日頃DeNAと共同で社内勉強会 DeNA+GO AI Community を開催しているGO株式会社の亀澤様から「量子化手法の概要とエッジ開発における課題」の講演がありました。ニューラルネットワーク軽量化の手段として、量子化の概要からツールや推論エンジンまで俯瞰的に紹介されており、この技術領域に詳しくない方でも分かりやすい内容になっていました。LLMにおいても量子化は必須の技術と述べられ、LLMに特化した代表的な量子化手法であるAWQ、QLoRA、SmoothQuantや、各種ツールが解説されていました。
「マルチ/ハイパースペクトル領域における高度な画像撮影および処理技術」
5月29日のオーガナイズドセッションでは「新たなセンシングの潮流」として、RGBカメラではないセンシングデバイスについての講演が3件行われました。国立情報学研究所の石原様からは「マルチ/ハイパースペクトル領域における高度な画像撮影および処理技術」の講演があり、RGBカメラよりも詳細な色の取得が可能なスペクトルカメラについての紹介がありました。カメラの仕組みから応用例まで網羅的に解説されている発表で、RGBカメラ以外を用いることによる可能性について分かりやすく学べる内容となっていました。本講演に限らずイベントカメラ・LiDARなどRGBカメラ以外のデバイスを用いた研究発表がSSII2025では多く見られ、こういったデバイスについての研究・実応用の盛り上がりを感じることができました。
インタラクティブセッション
詳細は省かせていただきますが、インタラクティブセッションでは様々なポスター発表を回り質問・議論することができました。3日間どの発表も盛況で、回るのが大変なほどでした。ありがとうございました。
さいごに
懇親会等で実行委員の方から昨年までと異なる日程・会場での運営の難しさについてもお聞きしました。しかしながら今年のSSIIも多くの参加者で賑わい活発な議論が行われる場となっており、このような素晴らしい場を作ってくださった運営のみなさまに感謝です。
DeNAは7月29日から8月1日に国立京都国際会館で開催される 画像の認識・理解シンポジウム(MIRU2025) への協賛も行っています。こちらでもコンピュータビジョンに関する技術・事例の企業展示を行いますので、参加される皆さまとお話しできること楽しみにしております!
会場ではDeNA / IRIAMの採用の紹介もさせていただきました。コンピュータビジョン関連の採用について詳細は以下のページをご覧ください。ご応募お待ちしております!
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
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