はじめに
システム本部 IT 統括部 IT 基盤部 副部長の土屋です。
現在は DeNA のインフラ基盤全体の管理を行うと同時に,ゲーム・エンタメ・動画配信・ヘルスケア・スポーツなど様々なサービスのインフラ運用を担うグループのマネージャを兼任しています。
この度,「 WEB+DB PRESS Vol.117 」の特集 2「AWS/GCP コスト削減」を執筆させて頂きました。発売日は 2020 年 6 月 24 日 (水) です。このブログでは本特集の概要と見どころをご紹介します。
特集の概要
本特集では,AWS と GCP のコストコントロールについて解説します。目次は以下の通りです。
- 第 1 章 コストコントロールの重要性
- 第 2 章 オートスケーリングの導入
- 第 3 章 在庫インスタンスの活用
- 第 4 章 インスタンスの集約
- 第 5 章 オブジェクトストレージの最適化
- 第 6 章 確約利用と継続利用による割引
DeNA は数多くの大規模サービスをクラウド上で展開しており,それらの運用の中でコストコントロールを行ってきました。本特集では,コストコントロールの進め方や具体的な方法を DeNA の実証に基づいて説明します。単にコストを下げるだけでなく,インフラの品質や提供までのリードタイムを高い水準で満たしながらコストを下げるためのさまざまな工夫についても紹介します。
対象読者
本特集では,主に IaaS 環境におけるコストコントロールを中心に解説しています。AWS であれば EC2,GCP であれば GCE を利用されている読者に最適な内容です。
また,IaaS 環境に限らず,安定したインフラを長期に渡って運用するにあたり重要な観点である Quality,Cost,Time を高い水準で満たすための知見も取り上げています。したがって,広くインフラエンジニア・SRE の方々に役立つ内容になっています。
特集の見どころ
各章の見どころを簡単にご紹介します。
第 1 章 コストコントロールの重要性
本章ではクラウドのコストコントロールがなぜ重要かを説明した上で,主なコストコントロール施策とその取捨選択方法について解説します。コストコントロールの導入部として参考にしてください。
第 2 章 オートスケーリングの導入
オートスケーリングはクラウドとの親和性が非常に高く,導入によって大きくコストを削減できます。本章ではオートスケーリングの導入について解説します。また,単に導入するだけでなく,安定して稼働させるための工夫や AWS/GCP での実践方法についても紹介します。
第 3 章 在庫インスタンスの活用
AWS のスポットインスタンスや GCP のプリエンプティブル仮想マシンを活用することでコストを大幅に下げることができます。本章ではこれらのサービスの特徴を紹介し,いつやってくるか分からない中断にどのように備えるべきか,また,カバレッジを上げるためにはどのような工夫が必要かについて解説します。
第 4 章 インスタンスの集約
インスタンスの集約によってインスタンスのリソースを効率よく使うことができます。その結果,必要なインスタンス数を減らすことができ,コスト削減に繋がります。本章ではインスタンスの集約の実現方法を実例を交えながら解説します。
第 5 章 オブジェクトストレージの最適化
AWS の S3 や GCP の GCS は,コスト効率の良いストレージクラスを選択することでコストを抑えることができます。本章ではストレージクラスの種類や特徴について整理し,その設定方法やライフサイクルによる設定の自動化について解説します。
第 6 章 確約利用と継続利用による割引
AWS の RI/Savings Plans,GCP の CUD/SUD など,クラウドには特定の条件を満たしたときに割引が適用されるサービスがあります。本章では,そのような割引の特徴や購入時の注意点,サービスごとの機能比較などについて解説します。
おわりに
技術評論社の稲尾様,久保田様をはじめ,本特集の内容について有益なコメントを下さった AWS/GCP の方々,DeNA メンバ,その他本特集に関わってくださった全ての方々に深く感謝致します。
本特集が,クラウドの弱点である高コストを克服し,メリットを最大限享受するための参考になれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
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