こんにちは、IT 基盤部ネットワークグループの谷崎です。
前回の私の記事で、
オンプレミスと GCP 間のネットワーク接続
についてご紹介させていただきました。
今回は DeNA Techcon 2020 でご紹介する予定だった、AWS とのプライベート接続についてご紹介させていただきます。
従来の構成と運用課題
AWS との内部通信は下記のような構成で運用していました。
- 各アカウントの VPC で Virtual Private Gateway、および Site-To-Site VPN トンネルを作成
- オンプレ Firewall で各 Virtual Private Gateway と対になる IPsec VPN、および VPN トンネルを設定
しかしこの構成は下記の運用課題を抱えていました。
- 通信品質
- IPsec VPN はインターネット通信のため通信品質が保証されない
- 設定管理の煩雑化・構成の複雑化
- VPC と 1:1 で設定を追加する必要がある
- リードタイム
- ネットワークグループでの作業に 3 日程度のリードタイムを要する
今回は我々ネットワークグループがこれらの課題をどのように解決して、現在どのような構成で運用しているのかご紹介します。
「1. 通信品質」の解消
まず我々はロスの許されない大容量なデータ移行にも耐えうる通信品質を担保するため、AWS Direct Connect を採択しました。
AWS Direct Connect とは AWS との専用線接続サービスで DeNA では 10G * 2 本の Direct Connect Connections で導入しました。
この導入により、オンプレミスとの接続は下記の構成となり、通信品質は担保される状態となりました。
- データセンタと AWS 間を Direct Connect 接続
- 10G x 2 Dicrect Connect Connections
- Virtual Private Interface x Virtual Private Gateway 構成
これにより、「1. 通信品質」は解消されましたが、この構成も各アカウントの VPC とオンプレミス側で対になる接続設定が必要なため、 2, 3 の課題は残存しました。
- 通信品質
IPsec VPN はインターネット通信のため通信品質が保証されない- 専用線サービス AWS Direct Connect の導入によって解消
- 設定管理の煩雑化・構成の複雑化
- VPC と 1:1 で設定を追加する必要がある
- リードタイム
- ネットワークグループでの作業に 3 日程度のリードタイムを要する
「2. 設定管理の煩雑化・構成の複雑化」の解消
次に我々は AWS の利用拡大にも追従しうるシンプルかつスケーラブルな構成を求め、AWS Transit Gateway (以下、TGW) を採択しました。
TGW は VPC 間の通信をハブアンドスポーク型で実現できるマネージドなルータのサービスです。
この導入により、オンプレミス、および VPC 間の接続は下記のような構成になりました。
- VPC 間の通信は TGW 折り返しでルーティング
- オンプレとの通信は TGW と接続した AWS Direct Connect Gateway 経由でルーティング
- オンプレミス、および各 VPC が TGW を中心としたハブアンドスポーク型の構成
これにより、「2. 設定管理の煩雑化・構成の複雑化」も解消解消されました。
- 通信品質
IPsec VPN はインターネット通信のため通信品質が保証されない- 専用線サービス AWS Direct Connect の導入によって解消
- 設定管理の煩雑化・構成の複雑化
VPC と 1:1 で設定を追加する必要がある- オンプレミス、および各 VPC 間の通信をハブアンドスポーク型で可能とする AWS Transit Gateway の導入で解消
- リードタイム
- ネットワークグループでの作業に 3 日程度のリードタイムを要する
「3. リードタイム」の改善
先の TGW の導入により、オンプレミスとの接続が TGW での終端となったため従来のような各 VPC と対になる設定は不要となり、リードタイムに関しても大幅に改善されました。
しかし、TGW と各 VPC をアタッチする設定は必要で、設定はブラウザ上のコンソールから行なっていました。
そこで我々は TGW を含む関連リソースを全て Terraform によってコード化しました。
これにより、リードタイムの改善に付随して、コードレビューや DRY-RUN を介する事によるヒューマンエラーのリスクも減りました。
- 通信品質
IPsec VPN はインターネット通信のため通信品質が保証されない- 専用線サービス AWS Direct Connect の導入によって解消
- 設定管理の煩雑化・構成の複雑化
VPC と 1:1 で設定を追加する必要がある- オンプレミス、および各 VPC 間の通信をハブアンドスポーク型で可能とする AWS Transit Gateway の導入で解消
- リードタイム
ネットワークグループでの作業に 3 日程度のリードタイムを要する- TGW の導入によってオンプレミス側の設定は不要になり改善
- Terraform によるコード化により改善
最終的な構成
これらを経て現在 DeNA では下記のような構成で AWS とのプライベート接続を運用しています。
終わりに
以上、オンプレ DC と AWS との内部通信をご紹介させていただきました。
本ブログの内容が少しでも皆様のお役に立ちましたら幸いです。
以上、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
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