はじめに
こんにちは。DeNAで内定者インターンをしている26卒の Yuichiro Kabutanです。
2025年9月19日(金)から21日(日)の3日間にわたり、iOSDC Japan 2025が開催されました!
私もDeNAブースのお手伝いとして参加しつつ、セッション聴講や参加者の皆さんとの交流を通じて、この熱気に包まれたイベントを満喫してきました。
本記事では、私がiOSDC Japan 2025で体験したDeNAブースでの取り組み、ストリートコーディングで出来上がったアプリケーション、そして特に印象に残ったセッションやブースについてご紹介します。
この記事を読んでくださった皆さんに、今年のiOSDC Japanの盛り上がりが少しでも伝わり、DeNAにも興味を持っていただければ幸いです。
DeNAからの登壇・投稿
DeNAは、iOSDC Japan 2025にゴールドスポンサーとして協賛し、今回で9回目の参加となりました。
今年は、DeNAに所属するiOSエンジニアのうち、3名がレギュラートークに登壇、1名がパンフレット記事を投稿しました。また、iOSDC Japan 2025の運営コアスタッフに、DeNAから3名のエンジニアが参加していました。

登壇内容
手話ジェスチャーの検知と翻訳〜ハンドトラッキングの可能性と限界〜 by @u5_03s
- 2025/09/19 17:20〜 | Track B | レギュラートーク(20分)
- AppleのVision Proとハンドトラッキング技術を活用し、手話の単語をリアルタイムで認識・翻訳するツールを開発。
- 手話をより身近に感じてもらうことを目指し、Vision Proのデモを交えながら実装の仕組みや現在の技術的な課題について解説しました。

ハイパフォーマンスなGIFアニメ再生を実現する工夫 by @noppefoxwolf
- 2025/09/20 10:50〜 | Track D | レギュラートーク(20分)
- iOSでのGIF/APNG再生時のメモリ・パフォーマンス問題を解決するため、軽量な再生ライブラリ AnimatedImage を開発。
CADisplayLink
によるフレーム制御やメモリ消費を抑えるキャッシュ設計など、パフォーマンスを高める内部構造と低レイヤーAPIの活用法を解説しました。

そろそろ FormatStyle by @treastrain
- 2025/09/20 13:00〜 | Track B | レギュラートーク(40分)
- スライドはこちら
- Swift 5.5から導入されたモダンなフォーマット機能
FormatStyle
を解説。 - 従来の
Formatter
が持つ型安全性・パフォーマンス・キャッシュ管理の課題を、宣言的で直感的な構文で解決。 - 基本的な使い方から旧
Formatter
からの具体的な移行ノウハウ、さらにはカスタムFormatStyle
の作り方や内部実装までを網羅的に扱いました。

パンフレット投稿内容
SwiftUIで破綻しないためのコンポーネント設計と構造パターン実践 by @akkiee76
- パンフレット記事(p.88〜)
- SwiftUIの大規模化に伴う可読性・保守性の低下やPreview機能の破綻といった共通課題に対し、Appleの公式プラクティスを基にしたコンポーネント指向の設計アプローチを提案。
- 具体的な解決策として、Viewの責務を小さく分割するコンポーネント化、状態とロジックを分離する状態駆動設計、そして依存関係を明確にしてPreviewを安定させるための具体的な手法をコード例を交えて解説しています。
本誌はこちらのGitHubから読むことができます。
DeNA ストリートコーディングブース
DeNAブースでは、参加者の皆さんと一緒にコードを書きながらアプリを作り上げる「ストリートコーディング」を実施しました。
約30名のエンジニアの方々にご協力いただき、3日間でiOSDC Japan 2025の非公式タイムテーブルアプリが完成しました!
ここでは、ブースでの取り組みと完成したアプリケーションについてご紹介します。
ブースでの取り組み
この取り組みは、try! Swiftから始まり、Droid Kaigiでも実施され、今回で3回目となりました。
ブースにお越しいただいた参加者の皆さんとDeNAのiOSエンジニアが一緒にコードを書き、アイデアを出し合いながらアプリを作り上げました。


今回の企画のために私は、参加者の皆さんがより参加しやすくなるよう、アプリに必要な機能を提案するためのタスク管理用ウェブアプリを事前に準備しました。
このWebアプリは、Macで起動したサーバーに、同じWi-Fiに接続したタブレットからアクセスします。通りがかった参加者はタブレットから気軽に機能案を投稿でき、その内容がブースのモニターにリアルタイムで表示されます。そしてコーダーは提案されている機能の中から実装を行うことができ、スムーズなコーディング体験を提供できると確信していました。

しかし、Day0ではDeNA側で用意していたWi-Fiの設定が原因で、タブレットからアプリにアクセスできないという問題が発生しました。
その夜、ホテルに戻ってからも原因調査を続け、モバイルルーターのWi-Fiセパレーター機能が通信を阻害していることを特定し、この設定をOFFにすることで、Day1から徐々にアクセスできるようになり、Day2には完全な安定稼働を実現できました。
非常に残念で悔しい思いをしましたが、この経験を通じて他のブースで当たり前に稼働しているアプリやブース用のツールの凄さを改めて実感しました。
完成したアプリケーション
3日間で完成したタイムテーブルアプリは、基本機能に加えて、最新のiOS技術を取り入れたモダンなアプリケーションになりました。
タイムテーブルアプリとしての基本機能に加えてUIにはLiquid Glassを早速採用し、タブバーやトラックを識別するバッジなどに半透明のガラスのような質感が加わっています。さらに、Foundation Modelsを活用し、セッションタイトルから内容を予想して自動生成する機能も搭載されています。


また、ご協力いただいた方々の名前をスクロール表示するコントリビューター画面や、AsyncImage
を使った非同期スピーカー画像読み込み、TabViewの自動非表示機能のtabBarMinimizeBehavior
も実装され、モダンなアプリケーションになりました!


ご協力いただいた皆さまのサインと一覧は、記事の末尾でご紹介しています。
最終的なコードは、DeNAの
GitHubリポジトリ
で公開されているのでぜひ実際のコードもご覧ください。
印象に残った体験
iOSDC Japan 2025では、技術的な学びが得られるセッションと、各企業のユニークな取り組みに触れられるブース体験の両方を楽しむことができました。
ここでは、その中でも特に印象に残ったセッションとブース体験をご紹介します。
セッション編
非常に興味深いセッションが多数開催され、新たな知見を得ることができました。
その中でも特に印象に残ったセッションは以下の3つです。
iOSアプリのバックグラウンド制限を突破してバックグラウンド遷移後もアップロード処理を継続するまでの道のり
このセッションでは、安定したアップロード機能を実現するための技術的な工夫に特に引き込まれました。セッションでは、Picture In Picture
を活用してバックグラウンドでの処理時間を確保するというテクニックが紹介されたほか、最新のiOS 26で導入されるBGContinuedProcessingTask
との比較も交えて解説されていました。私自身、個人開発などでバックグラウンド処理の実装に悩んだ経験があるため、これらの具体的な解決策は非常に参考になりました。これまで知らなかったアプローチを知ることができ、今後の開発の選択肢が広がったと感じています。
iPhoneのマイナンバーカードのすべて
まだ目新しいこの技術について、内部的な仕組みやセキュリティを知ることができました。カード情報を安全に記録するmDocや電子証明書といった要素で構成され、さらにモバイルIDの国際規格に準拠することで堅牢性を担保しているとのことでした。特に、Appleから提供されるJPKIPassContentsのような日本専用APIを通じてアクセスするという仕様は、普段触れることのない領域で非常に興味深かったです。
App Clip 5年史: 萌動と停滞のクロニクル
このセッションでは、登場から5年が経つApp Clipの現状と課題、そして今後の可能性について知ることができました。Androidでは同様の機能が下火になる中で、App Clipも認知度の低さが少々課題である一方、スターバックスのモバイルオーダー決済のように、特定の場面で着実に利用されている事例が紹介されました。期待されていた技術が必ずしも広く普及するわけではない現実と、それでもなお特定のユースケースで価値を発揮する潜在能力について、改めて考えることができる時間となりました。
ブース編
DeNAブースでの活動以外にも、カンファレンス会場の企業ブースを巡り、各社のユニークな取り組みに触れることができ、どのブースもとても面白かったです。なかでも印象的だった3つのブースを紹介します。
Hondaさんのブース

Hondaさんのブースで展示されていたバイクでは、ハンドルに付いているボタンから直接道案内アプリや音楽を操作できる機能に触れることができ、そのアプローチに驚きました。運転中のスマートフォン操作が難しいという課題に対し、安全かつ直感的なUXをハードウェアとソフトウェアを融合させて解決するアプローチを取れるHondaさんの強みを体現したブースでした。


ピクシブさんのブース

Pixivさんのブースで体験した「SwiftUIと秘密の修飾子」は、ユーザー操作をキャプチャするアプリを使ったクイズ形式で、優れたUXを提供しており、SwiftUIへの理解を深めつつPixivの方と交流することができました。遊び心とiOSの技術力が融合した体験に感嘆しました。
リブセンスさんのブース

リブセンスさんの「転職ドラフト」ブースでは、iOSエンジニアのキャリアレジュメとオファー年収をスタッフと共に考える共同ワーク形式が新しいアプローチだと感じました。3日間で異なる年収のエンジニアのレジュメを提供しており、毎日異なる体験が提供されていました。参加者の考察に寄り添いつつフィードバックをもらえることで、さらに交流が生まれる点が良かったです。
iOSDC Japan 2025の魅力と熱気
個人的にiOSエンジニアの文化祭だと思っているiOSDCは、今年も最高のイベントでした! 特に10周年記念ということもあり、会場は昨年以上にパワーアップしており、豪華な装飾で、ノベルティも非常に充実していました。朝食のドーナツから始まり、スタンプラリーにも参加し、48ブース全てを巡りました。

抽選会では運にも恵まれ、10周年記念のラメTシャツを手に入れることができて大満足です!


LT会で使われた2種類のペンライトや、歴代のカンファレンスウォーターの展示など、細かな部分にもエンターテイメント性の高い工夫が凝らされており、運営の皆さんの熱意を感じました。

iOSDC最大の魅力は、ブースや懇親会など、周囲の参加者との交流では和気藹々と盛り上がりつつ、ひとたび技術の話になれば深く語り知ることができる、「楽しさ」と「学び」が両立している点だと感じています。今年も会場では多くのエンジニアの方々と交流する機会にも恵まれ、アンカンファレンスなどを通じて出会った同世代の学生iOSエンジニアから刺激を受けたり、DeNAのエンジニアの方々と深く話せたりと、その魅力を存分に味わうことができました。以前からお世話になっている方々との再会も嬉しかったです!
おわりに
DeNAブースでの取り組みやセッション、そして何よりも多くのエンジニアとの交流を通じて、私にとって非常に充実した3日間となりました。今回得られた新たな知識やインスピレーションを、今後のインターン業務や自身の技術研鑽にしっかりと活かしていきたいと思います。
来年のiOSDC Japanで、また皆さまとお会いできるのが今から楽しみです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!


ご協力いただいた皆さんへ
約30名の方々にご参加いただけました。
ご参加いただき、本当にありがとうございました!
3日間でご協力いただいた方のサインと、一覧を記載させていただきます。
(敬称略・順不同)

- yidev0
- まつじ
- @kagaffy
- @Imash0
- tera-ny
- じょにー
- ONG YUE HUEI (AJ)
- へじふく
- armtic
- tatsubee
- @tussy5969
- @ynoseda
- にーさん
- yamaken
- のっちー
- S_Shimtotori
- @dacchan
- @mimimi1204
- atsuyan
- @_tak_hito_
- daikiumeharu
- Tanaka Mikihisa
- nnsnodnb
- @OEtsushi
- Megabits
- kuroruri
- 上ちょ/うuetyo
- 417.72ki
- いぬしば
- こうちゃん
- tatsubee
&
DeNA iOS app engineers!!
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
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