複雑なアカウント管理からの脱却! DeNAの新社内システム「HERB」

はじめに

IT本部IT戦略部システム開発グループの大久保です。 DeNAグループにおけるITシステムのアカウントやデータの連携基盤の開発・運用を担当しています。

本記事では、IT戦略部が現在開発中の新アカウント管理システム「HERB」についてご紹介します。システムの導入背景、HERBの特徴、そして主な機能について詳しく解説していきます。

DeNAグループでは、従業員が利用する様々なツール（Google Workspace, GitHubなど）のアカウント管理をIT戦略部が開発・運用するアカウント管理システムが担っています。しかし、既存のアカウント管理システムにはいくつかの課題が顕在化していました。

従来の課題:

複雑な運用と高い負荷: 部署異動や入退社に伴うアカウント処理は複雑で、多くの手間がかかっていました。加えて、従業員のアカウントに関する問い合わせやイレギュラーな対応も多く、IT戦略部の運用負荷が増大していました。
システム全体の把握の困難さ: アカウント管理に関連するシステムが多岐にわたり、それぞれが個別に最適化されてきた結果、全体像の把握が難しくなっていました。これにより、システム間の連携が複雑になり、障害発生時の原因特定や対応に時間がかかることもありました。

そこで、私たちはこれらの問題を根本的に解決し、より効率的で堅牢なアカウント管理基盤を構築するため、新アカウント管理システム「HERB」の開発に着手しました。

HERBの導入により、私たちは以下の目標達成を目指しています。

運用効率の向上: アカウント管理業務を自動化・簡素化し、IT戦略部の運用負荷を大幅に軽減します。これにより、より戦略的な業務に注力できるようになります。
システムの統一とシンプル化: 複雑化したシステムを統合し、アカウント情報のマスターデータを一元管理することで、全体像を把握しやすく、安定した運用を実現します。
将来への対応力強化: 変化する事業環境や新たな技術の導入に柔軟に対応できる、拡張性の高いシステムを構築します。

HERBは、DeNAグループの成長を支える重要なインフラとして、従業員がよりスムーズに業務に取り組める環境を提供することを目指しています。

HERBは、上記のような課題を解決し、DeNAグループのアカウント管理を次のレベルへと引き上げるために、以下の特徴を持っています。

アカウントのマスターシステム: IT戦略部が管理する各種ツールのアカウント情報に対して、唯一のマスターシステムを構築します。これにより、データの整合性が担保され、システム間の連携がシンプルになります。HERBはアカウント情報のマスターとして機能し、他のシステムはHERBに問い合わせることで最新のアカウント情報を取得できるようになります。
シンプルなシステム間連携: 従来のシステムが順次連携していく複雑なデータフローから脱却し、HERBをハブとした放射状の連携モデルを採用します。これにより、システム間の依存関係が明確になり、障害発生時の影響範囲を限定しやすくなります。
IT戦略部の関与を最小化する運用: 定常的なアカウント管理業務は、各主管部門で完結することを目指します。これにより、IT戦略部はイレギュラー対応やシステム改善といった、より付加価値の高い業務に集中できるようになります。
高い保守性と拡張性: 将来的な機能追加や業務範囲の拡大にも柔軟に対応できるよう、保守性に優れたアーキテクチャを採用します。

HERBは、上記特徴を実現するために、以下の主要な機能を提供します。

ツール利用申請機能: 従業員が業務で利用する各種ツールの利用申請をHERB上で一元的に行えるようにします。申請から承認、アカウント発行までの一連のワークフローをシステム化することで、申請プロセスの透明化と迅速化を図ります。
アカウントプロビジョニング機能: 各種ツールのアカウント作成、更新、削除を自動化します。これにより、手作業によるミスを減らし、アカウント管理の効率を大幅に向上させます。
アカウント情報のWeb API提供: HERBは、アカウント情報を一元的に管理するマスターシステムとして機能します。これにより、各システムはHERBのAPIを通じて最新かつ正確なアカウント情報を取得できるようになり、データの整合性が保たれます。

HERBシステム連携図