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2025.01.21 研修レポート

新卒のメンターやってみてわかった「信頼を築く」というメンタリング

by Kotaro Tachibana

#new-grad #training #mentor #mentoring #on-boarding #情シス

はじめに

メンター業務に挑戦したことのある方なら、その難しさに直面したことがあると思います。 中でも、メンティーや後輩との信頼関係の構築は、多くの人が抱える大きな課題の一つです。そして信頼関係を築くうえでは、エンジニアリングの技術や経験のみならず、コミュニケーション力も大変重要だと考えています。

この記事では、はじめてメンターに挑戦したわたしが信頼構築する上で意識していたことや、うまくいった方法/考え方を2つ紹介します。誰かのメンタリングの参考になると嬉しいです🥰

メンター業務概要

弊社の24新卒エンジニアは、入社後3ヶ月間の研修を受けます。 その期間に、新卒エンジニアのメンターとして、自己成長の促進やメンタルケアを行う役割を社内では「プレメンター」と呼びます。 基本的に1人のプレメンターに対して1 ~ 2名のメンティーが割り当てられ、わたしは2名のメンティーを担当させていただきました。

同期の 高嶋さんが執筆してくださった記事 で詳細に紹介されているので、興味がある方はそちらも併せてご覧ください。

1. メンティー優先なコミュニケーション

わたしはまず、常にメンティー優先なコミュニケーションを意識しました。 理由は単純で、メンティーに安心感を持って欲しかったからです。

通常、メンターとメンティーは初対面だと思います。初対面は誰しも緊張します。ましてや、先輩社員となるとなおさらです。 わたしは、通常の自己紹介に加えて以下のようなことはじめに伝えてみました。

1. メンターの役割

  • メンターは自己成長を促したり、メンタルケアを行う存在であること
  • 定期的な状況報告を新卒部に行うこと

2. メンターを引き受けた動機

  • 昨年度にメンティーとして参加してありがたみを知ったのでメンターとして立候補したこと
  • メンティーの成長を通して自身も学ばせていただきたいこと

3. メンターの立場

  • 完全にメンティーの味方であること
  • 人事権などは持っていないので、会社や他メンバーに対する不満や愚痴も話しても影響がない(むしろ話してほしい)こと
  • 新卒部に対して不都合のあることは一切話さないこと
  • メンター一人で解決できないことは他のメンターや社員に繋げることができること

これらは、メンティーが抱くであろう「あなたは誰で、わたしにとってどんな立場な人なのか」という疑問を解消する内容です。 また、これらの内容は外部からメンティーに対しては透明性を担保している一方で、メンティーから外部に対しては不透明性を容認しています(このことを「メンティーが有利なコミュニケーション」としています)。 このような状態を明示的に自覚してもらうことで、自己開示の心理的負担の軽減を目指しました。 不透明性を容認することを良いプラクティスと提案することは少ないと思いますが、今回のメンタリングで何よりも大切なのはメンティーの精神的な安寧や成長を触発することです。 また、この不透明性は一時的なもので、しだいにメンターを通して会社全体に信頼を置いてくれると信じていたこともあり、わたしはこのようなアプローチを取りました。

2. 質問は、実体験をサンプルとして提示しつつ回答

メンターとして関わる上で、メンティーから質問や相談を受けることは本当に嬉しいことの一つです。
また、メンターはメンティーの自己成長を促す存在でなくてはいけません。 言い換えれば、メンティーが悩みを抱えた時にはできる限りメンティー自身の力で解決や次のアクションを定めるよう支援することが期待されており、答えを直接教えることはアンチパターンです。 ただ一方で、メンティーが未知の領域に挑戦する場合、具体的な事例や経験無しに、とるべきアクションを考えるのは難しいです。

そこでわたしは、過去自分が対応した課題の中から、メンティーが抱える課題と似た課題を探し、その課題に対してどう対応したかをサンプルとして話すアプローチを選択しました。
そしてそのサンプルを話す際は、なぜその課題が生まれたのか、課題に対しどう考えどのような問題解決をしたのかを伝えました。 重要なのは最終的な問題解決の手法ではなく、その選択に至るまでの思考や行動を言語化し伝えることです。 また、そのサンプルを伝える際も、あくまで一例であり解ではないこと、そしてメンティーの向き合った課題と差分があることを付け加えて説明することで、「メンターの真似をただすればいい」という誤解を防ぐことも重要です。 実体験をもとにしていることから、説得力があり具体性もあるヒントを示すことができました。 このようなサンプルの提示の仕方により、相手に自主的に考えることを促しつつも、適度にヒントや参考情報を与えることで相手が問題解決しやすい状況にすることを意識しました。

おわりに

この記事では、私の経験から得た信頼を大切にしたメンタリングをするためのtipsの1つとして、「メンター優先のコミュニケーション」と「実体験をサンプルとして提示する」を紹介いたしました。   メンターとメンティー信頼関係を構築するうえで、このtipsが何かしら活きたら幸いです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
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