はじめに
IT 本部 IT 基盤部第一グループの山本です。 AWS Aurora のマネージドバックアップのコストの以下の記述についてコスト計算が直感的にわかりづらかったので、実際にコストを確認してみました。
Aurora provides unlimited free storage for all snapshots that lie within the automated backup retention period. After a manual snapshot is outside the retention period, it's billed per GB-month.
https://docs.aws.amazon.com/AmazonRDS/latest/AuroraUserGuide/aurora-storage-backup.html
結論
- 自動バックアップの保持期間内に作成されたクラスタースナップショットは無料
- 一般的なユースケースで自動バックアップのストレージはクラスタースナップショットよりかなり小さい
以上の条件から 自動バックアップの保持期間がクラスタースナップショットの保持期間以上とした方がコストが低い という結論になります。
AWS Aurora のバックアップの種類
AWS Aurora には大きく分けて以下のバックアップの種類があります。
自動バックアップ
- 自動バックアップの期間( 1 - 35 日)中は、バックアップウインドウ中にデータベースのスナップショットが毎日作成される
- 増分として取得されるためストレージ消費が少ない
クラスタースナップショット
- DB クラスター全体をバックアップするため単体のスナップショットで復元が機能するため保持期間の影響がない
- 36 日以上保持可能
コスト計算式
-
TotalBackupStorageBilled
: 請求対象のバックアップ使用量 -
BackupRetentionPeriodStorageUsed
: 自動バックアップのバックアップストレージの量 -
SnapshotStorageUsed
: 自動バックアップの保持期間を超えてクラスタースナップショットを保存するために使用されたバックアップストレージの量 -
FreeTier
: クラスターのボリュームサイズ -
TotalBackupStorageBilled
= $ BackupRetentionPeriodStorageUsed + SnapshotStorageUsed - FreeTier $ -
バックアップコスト
= $ TotalBackupStorageBilled \times バックアップストレージコスト $
図解
- 自動バックアップのクラスターのボリュームサイズ分は無料
- 自動バックアップはクラスタースナップショットに比べてサイズが小さい
- 自動バックアップ期間内のクラスタースナップショットは無料
実際にあったコスト結果
以下のようなケースを設定した場合にコストは以下のようになりました。数字は計算しやすいように置き換えています。
-
ケース.1
- 自動バックアップ保持期間を 1 日、クラスタースナップショット保持期間を 7 日
-
ケース.2
- 自動バックアップ保持期間を 7 日、クラスタースナップショット保持期間を 7 日
項目 | ケース.1 | ケース.2 |
---|---|---|
自動バックアップ個数 | 1 | 7 |
クラスタースナップショット個数 | 7 | 7 |
BackupRetentionPeriodStorageUsed | 20 TB | 21 TB |
SnapshotStorageUsed | 131 TB | 0 TB |
free tier | 1 TB | 1 TB |
TotalBackupStorageBilled | 150 TB | 20 TB |
バックアップコスト計算式 | 150,000 x 0.023 | 25,000 x 0.023 |
バックアップコスト | 3,450 USD | 575 USD |
自動バックアップ保持期間がクラスタースナップショット保持期間以上の場合、自動バックアップ期間内のスナップショットが無料になるためスナップショットの数が多いにも関わらずバックアップコストが低くなります。
- ap-northeast-1 のバックアップストレージコスト(自動バックアップ、スナップショット)は、 毎月 USD 0.023/GB (2024/12 時点)
まとめ
- 自動バックアップ保持期間内に作成されたクラスタースナップショットに料金はかからないので、データの増分がクラスターのストレージコストを越えるような非常に特殊なケースを除いては自動バックアップの期間をクラスタースナップショットの期間より長くする方がよい
- ただし、クラスタースナップショットには、保持期間の制限がなく、クラスターが削除されても復元できるメリットがあるため適切な保存ルールの検討が必要です
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
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