はじめに
こんにちは。IT戦略部システム基盤G 岡崎です。 Atlassian Advent Calendar 2024 12月22日の記事です。
自己紹介
私はIT戦略部という所謂”情報システム部門”でエンジニアが利用するツールセットの管理を担当しているインフラエンジニアです。
主にAtlassianやGitHubといったサービスを導入し、安心かつ有効に利用できる業務環境を整備しています。
この記事について
2024年7月にAtlassian Community Events(ACE)にて登壇した内容をブログ化した記事です。
“Issue-Link: プロジェクトの複雑さを解決し、Jira活用を繋いでいく為の鍵!”
- イベント:#66 ACE Tokyo MeetUp Jiraをチームみんなで活用したいのになかなか浸透しない悩みのヒントをみつけよう at MIXI
上記の通り登壇時の資料については既に公開していますが、あくまでイベントに現地参加いただいた方を想定した振り返り用スライドです。
現地参加できなかった方向けに一部加筆修正を行いつつ、2024年の振り返りも兼ねてブログ記事化させていただきました。 それでは以下の記事を御覧ください。
Issue-Link: プロジェクトの複雑さを解決し、Jira活用を繋いでいく為の鍵!
背景
Jiraは活用していますか?Jiraは導入されていて、一部のエンジニアチームでは活用が進んでいるけど、中々思うように広まらないというケースがあるのではないでしょうか?
できればエンジニアだけでなくビジネス層も含めてツールの活用を推進していきたいけど・・・。
そんな課題に頭を悩ましている其処の貴方。
”簡単な活用から始めたら?”と言われた経験はありませんか・・・?
確かに最初は簡単なところから始めることは大切です。
ただし、Jiraを導入したもののExcelやスプレッドシートといった表計算ソフトで課題管理が始まってしまう 等。
新たな壁に頭を悩ませがちです。
そう。簡単な活用から始める。 この”簡単”が難しいのです。
なぜ簡単な活用から始めるアプローチは難しいのか?
1つの理由として、”簡単な活用”は実現可能性が高い一方、トレードオフとして"必要性"や"取り組み価値"は低い活用になりがちでした。
- Desirability:必要性
- Viability:持続可能性
- Feasibility:実現可能性
また、”敷居の低さ”や”実現可能性”に関して言えば、誰もが一度は利用したことのある表計算ソフトを上回ることは容易ではありません。
“Desirability:必要性” と “Feasibility:実現可能性"はトレードオフの関係ですが、バランスの取れた状態を維持することがJira活用推進の重要ポイントと言えます。
簡単かつ価値のある機能とは?
“Desirability:必要性” と “Feasibility:実現可能性"のバランスを取るためには”昔からある機能”に改めて着目することをオススメします。
”昔からある機能”の代表例としてIssue-Linkに関する機能&特徴と活用事例を紹介いたします。
機能紹介を通じて"Feasibility:実現可能性"を感じていただき、活用事例から"Desirability:必要性"を共有することが目的です。
Issue-Link入門(機能紹介)
Issue-Linkには以下の機能&特徴があります。
- 機能:issue(チケット)を別のissueとLinkする
- 特徴:ハイパーリンクと異なり相互Linkになる
ここから設定する機能です。
また、少し細かい内容ですが特徴についても補足します。
- 別のプロジェクトのチケットにLinkすることが可能
- 別のプロジェクトに移動したIssueもLinkは維持される
- オンプレミス版(Jira Datacenter版)とJira Cloud間でもLink可能
- ブロッカーのステータスでLinkしても、完了ステータスにすることが可能
つまり、Issue-LinkはIssue(タスク)間に関連があることを示す機能ですが、タスク、サブタスクの親子関係のように同一プロジェクト内であることなど制約が有りません。 相互Linkが維持されるためURL-Link切れなど懸念を考慮することなくデータ整理が可能です。
Issue-Link(事例紹介)
Issue-Linkの機能と特徴をふまえて、どのようなケースで役立つのか事例を紹介します。
背景
私が所属するIT戦略部は約50名が所属しており、実際の活動単位は複数のサブチームに別れています。
開発やインフラという職能別であったり、エンジニア&クリエーター系や会計人事といったバックオフィス系などカウンターパートとなる部署別に分割されており、それぞれ別Jiraプロジェクトでタスクを管理していました。
課題
- 期日の延期が増えてきた。
- 延期理由が不明瞭で、見積もり精度が上がらない。
状況分析
状況等を観察していると”足並みそろえたほうが良いよね!”という理由からスタックするタスクが発生していることがわかりました。
例えば 共通基盤としてID管理マスターを刷新するタスクは、Atlassian製品のCloud移行のタスクと依存関係があります。 マスターを参照してライセンス付与の自動化を開発しているチームも同様に依存関係があります。
もちろん足並みが揃えたほうが良いことは間違いないですが、共倒れのリスクがあります。
対策
そこで活用するのがIssue-Linkです。
各タスク個別の遅延リスクについてはサブチームのリーダー間の同期コミュニケーションを密に行う対策で解決することもできます。
緊急度が高いタスクについては同期的なコミュニケーションが有効ですが、緊急度は低いが重要なタスク全てに対して同期コミュニケーションを増やして解決することは困難です。
そのため、別ProjectのIssueにも依存関係を見つけたら気軽にLinkする。という対策を行いました。
結果
気軽にIssue-Linkを行うことで、以下の成果を得ることができました。
- タスクの影響範囲と重要性を認識しやすい。
- 期限を延期する際の影響範囲やコミュニケーション先が明瞭。
- Jiraを見ることに価値が生まれる。
- Jiraを見る習慣がお隣のチームにも伝播していく。
- JiraのIssue-Linkをみて依存関係を解消する方法を検討する文化。
依存関係の可視性が上がることにり、時には敢えて足並みを揃えない。という意思決定も非同期コミュニケーションの中で可能となります。
まとめ
Jiraは難しいと活用を諦めてしまう状況を聞くことがありますが、Jiraが難しいのではなく、タスク管理が難しいと考えています。
またAtlassian IntelligenceやRovoなど生成AIに代表される今後の新機能を利活用するためにも関連するチケットデータを構造化しておくことは有用です。
Jira活用を浸透させるためには、以下の3つの段階を意識することがオススメです。
- 昔からある機能を理解する。
- 新機能と組み合わせながら使ってみる。
- Jiraいいね!の成功体験を繋いでいく。
結果として自然とタスク管理に向き合う仲間が増え、Jira活用が浸透すると考えています。
機能と事例の紹介を通じて"Feasibility:実現可能性"と"Desirability:必要性"をに共感いただけたでしょうか・・・?
ご参考になれば幸いです。
おわりに
Atlassian Community Events(ACE)
私は2023年3月に開催された” #60 Tokyo Atlassian Community MeetUp -3年ぶりのリアルイベント開催 at Yahoo! JAPAN “以降すべてのイベントに出席しており、うち3回にて登壇しています。
今回は昔からある機能について着目した 2024年7月の登壇内容 についてブログ化させていただきましたが、Jira Cloudの活用やCloud移行時の事前設計の考慮点等について、 登壇スライドを公開 しております。
合わせてご参考にいただけると幸いです。
2025年 1月23日に次回イベントの開催が予定されています
freee社様の事例紹介やライブQAが予定されるようで、楽しみにしています。
ネットワーキングの時間もありますので、もし参加される方はお気軽にお声がけいただけると幸いです。
DeNA×AI Day (2025年2月5日,Wed)
弊社イベントにてAIという切り口からIT戦略部より事例紹介が予定されています。
お時間よろしければ、こちらも是非視聴いただければと思います。
ありがとうございました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
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