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2023.06.27 インターンレポート

読書会->実務->1on1のサイクルで成長できたインターン

by Miyuki Kimura

#hibiya-music-fes #internship

はじめに

こんにちは。2023年4月に新卒エンジニアとしてDeNAに入社した木村です。 私は2022年3月から2023年3月まで内定者インターンとして、多くのことを経験させていただきました。

(RubyKaigi2022に参加させていただいたことも…! 参加記を RubyKaigi 2022 に現地で参加してきました! という記事に残しております!)

その中でも本記事では、「読書会->実務->1on1のサイクルで学ぶことの素晴らしさ」にフォーカスして自分の体験をお伝えできればと思います!

概要

就職活動をしていたときは漠然とですがエンジニアを経てマネージャー的なキャリアを目指したいと考えていました。 ただ、自分には思考を整理して伝える力や、チームを推進する力が足りていないと感じていました。 そこで内定者インターンでは自分のキャリアにつながる学びを得るために目標設定をし、それに関連する書籍を課題図書として「読書会」をメンターさんとインターン生で実施しました。

また、読書会で得た知識は後述する「日比谷音楽祭2023」というプロジェクトでアウトプットし、不明点はメンターさんとの1on1で相談させていただくというサイクルを回しました。 その結果、自分が感じていた課題感をかなり克服することができ、研修中のチーム開発でもインターンでの学びを活かすことができました。

日比谷音楽祭について

日比谷音楽祭 はトップアーティストのライブやさまざまな質の高い音楽体験を、無料で楽しめることを目的にしたイベントです。

日比谷音楽祭に関するブログ記事は複数あるので、合わせてみていただけると幸いです。

2019年から毎年開催されていて、日比谷音楽祭で使用されるアプリの開発をDeNAがおこなっています。 私が開発に携わった日比谷音楽祭2022及び2023のアプリ開発は23新卒、24卒内定者のインターン生を中心に簡易的なスクラム開発でおこないました。 また、開発はサーバーサイドチームとアプリチームに分かれておこないました。

読書会->実務->1on1のサイクル

理想のキャリア像を固める

私が経験した内定者インターンではテクニカルスキルのメンターとソフトスキルのメンターがつきました。 日比谷音楽祭のプロジェクトに入る前に、ソフトスキル担当のメンターさんとの1on1で自分のキャリアにつながる目標設定しました。 具体的には以下のような流れで目標設定をおこないました。

  1. 現時点での自分が理想とするキャリアについて改めて考える
  2. 1で考えたキャリアを実現するために、現状取り組めることを考える
  3. 2で考えた取り組めることで達成したいことを目標として設定する
  4. 3で考えた目標は何ができていれば達成できたといえるのかを考えてアクションリストを作る
  5. 4で考えた各アクションに対して評価方法を考える

上記の手順で「チーム開発を推進する力をつける」という目標を設定し、その目標を達成するための具体的なアクションをいくつか考えました。 下記に一例を示します。【個人】とついているアクションはチームではなく個人で達成することを想定したアクションになっています。

アクション 評価方法
24卒のメンバー(私の一つ下の代にあたります)が自発的に発言できる
  • チームで話す場面で一度も(自発的に)発言しなかった人がいないかを確認する
  • スプリントごとに評価し、0になったらそのスプリントは達成とする
  • 直近の4スプリントのうち3/4でできていれば達成とする
  • タスクの受入条件が誰でもわかる
  • 振り返り会でチームメンバーにできた・できないを確認する
  • 直近の4スプリントのうち3/4でできていれば達成とする
  • 見つかった気づきや反省からチームの約束事を作ることができる
  • 振り返り会後に、見つかった気づきのうち具体的なアクションにつながっていないものがないかを確認する
  • 8割できていたらそのスプリントでは達成とする
  • 直近の4スプリントのうち3/4でできていれば達成とする
  • 【個人】チーム間の隔たりを作らずにコミュニケーションをとることができる
  • 出勤した日にチーム外の人と話したかを確認する
  • 直近の4スプリントのうち3/4でできていれば達成とする
  • 【個人】共有すべきナレッジをドキュメント化することができる
  • スプリントの終わりにそのスプリントで発生した共有すべきナレッジのうち、ドキュメント化できていないものがないかを確認する
  • 直近の4スプリントのうち3/4でできていれば達成とする
  • 設定した目標につながる書籍を決めて読書会をする

    目標が決まったので、目標達成につながる書籍を決めて読書会をしました。

    【1冊目】 ロジカル・シンキング

    1冊目に ロジカル・シンキング という本を読みました。 ロジカルシンキングは問題解決や合理的に物事を考えるための基礎的な能力です。(実際に読書会で3冊目に読んだ本はロジカルシンキングを学んだことがある状態で読むと理解がしやすく、ロジカルシンキングが色々なことの基礎になっていることを感じました…!) ですが、体系的に学んでいる人は少なくDeNAの新卒でもこれができる人は少ないので、先取りして学んでおくことで入社してからロケットスタートが切れるよ!!とメンターさんに提案していただきました。 この書籍はロジカルシンキングのやり方を実例を交えながら非常に丁寧に解説しているもので、練習問題やトレーニング題材も充実しているため、実践につながる知識を身につけることができます。私の場合はまだまだ実践で使いこなすことができていないので、最近は教科書的な使い方をしながら引き続きロジカルシンキングを鍛えています!

    【2冊目】 アジャイル開発とスクラム 第2版 顧客・技術・経営をつなぐ協調的ソフトウェア開発マネジメント

    インターン生で「アジャイルの本が読みたいです」という抽象的なお願いをしたところ、メンターさんがおすすめの本を提案してくださり、 アジャイル開発とスクラム 第2版 顧客・技術・経営をつなぐ協調的ソフトウェア開発マネジメント を読むことになりました。 この本は「アジャイル開発とは何か?」という前提の部分から取り入れている企業の実例まで説明されています。 個人的には「アジャイル開発の活動の説明」、「アジャイル開発を取り入れるモチベーション」、「大きなチームや組織でアジャイルをスケールさせる方法」などが勉強になりました。

    【3冊目】 ファシリテーションの教科書: 組織を活性化させるコミュニケーションとリーダーシップ

    私が日比谷音楽祭のプロジェクトでファシリテーションについて悩んでいたところ、 ファシリテーションの教科書: 組織を活性化させるコミュニケーションとリーダーシップ をお薦めしてもらい、読書会をしました。 自分が想像していたファシリテーションスキルと本で話されているスキルのギャップが大きく、個人的には読書会で読んだ本の中でこの本が一番印象に残っています。

    本の前半は会議の準備や実際に進めるときのステップがかなり詳細に書かれています。この時点で自分が思っていたよりファシリテータが気にすべきことがたくさんあることや会議の事前準備の重要性がわかりました。 本の後半になると会議の議論をより良いものにするために参加者とのコミュニケーションの取り方が中心に説明されています。正直今の自分の実力では「こんなところまで気が回らないな…」というくらいに意識すべき点がたくさん書かれていますが、 この本に書いてあることをマスターすると人や場をコントロールできるようになれそうだと感じました。なのでファシリテーションスキルとしてだけでなく、リーダー的な立場の方にもとてもおすすめできる本であり、自分も実践と合わせながら身につけていきたい内容でした。

    読書会での学びを日比谷音楽祭のプロジェクトでアウトプット

    日比谷音楽祭のプロジェクトでは、「アジャイル開発とスクラム」の読書会で学んだことを中心に開発の状況に合わせてスクラム開発を導入していきました。 プロジェクト初期では以下のセレモニーを取り入れました。

    スプリントプランニング

    スクラムでは開発〜振り返りを「スプリント」という単位でおこない、スプリントを反復していくことでチームとプロダクトを成長させていきます。 スプリントプランニングではスプリントの開始時にスプリントで取り組むタスクを決めて、後述するプランニングポーカーを用いてタスクの規模見積をおこないます。 私が所属していたチームではタスクの見積だけでなく、タスクの認識をすり合わせるという目的でスプリントプランニングとプランニングポーカーを実施していました。

    プランニングポーカー

    スプリントプランニングの中でも説明していますが、プランニングポーカーとはタスクの規模見積をおこなう手法の一つです。 プランニングポーカーはチーム全員でタスクの見積もりをおこない、合意をとってタスクにポイントを割り振る作業をおこないます。 また、プランニングポーカーではタスクの重さを時間等の絶対的な数値ではなく「相対見積もり」で実施することが特徴です。 具体的には下記のようにポイントの基準を設定していました。

    数値の選択基準
    0~8を使い、それ以降の数字は使わない。
    
    0:タスクにしなくていいレベルのもの
    1:誰でもすぐにできる
    2:経験があれば
    3:ペアプロですぐにできる
    5:複雑性が高い
    8:ストーリーにしてサブタスクとして分解し、再度ストーリーポイントを割り当て直す
    

    デイリースクラム

    デイリースクラムでは主に作業依頼や今日やることについての不安点、次に発生しそうなタスクなどの情報共有をJamboardを使いながら開発チーム全体でおこないました。 一般的にはデイリースクラムは15分程度でおこなうべきとされていますが、開発チーム全体でおこなう都合上30分で実施しました。 インターン生が中心で出勤のタイミングや稼働時間がバラバラだったため、ファシリテーターを固定にせず、その場にいる24卒メンバーで回すようにしていました。24卒メンバーに限定していたのは、自分を含む23卒が研修に参加するために日比谷音楽祭のプロジェクトを抜けるので、24卒にファシリテーションに慣れておいてもらうためです。

    デイリースクラムで情報共有をおこなうことで認識のずれやコミュニケーションの不足を避けることができていたかなと思います。 また、余った時間は半強制的に雑談することで、朝からわいわいとした雰囲気を作ることができていました。

    プロジェクトでの課題をメンターに相談

    プロジェクトを進めていくうちに、いくつか課題が出てきました。その一例として振り返り会の実施を検討した内容を挙げます。

    プロジェクト開始時はチームごとにスプリントプランニングのような定例MTGがあるのみで、課題についての振り返りをする機会がありませんでした。 そこで、レトロスペクティブを取り入れたいという相談を1on1でさせていただきました。 その際にメンターさんにまず初めに確認されたのは「手段が目的になっていないか」という点でした。 確かにその時の自分は、アジャイル開発とスクラムの読書会を通してスクラムの模範的なやり方について学んでいたので逆にスクラムを取り入れていくことが目的になりかけていました。そこで改めて「どういった課題があって振り返りをしたいと考えているのか」を自分の中で整理し、スプリントで見つかった課題が放置されてしまっていることが課題であることを確認しました。 次に、「課題を解決するためにレトロスペクティブ以外の方法がないか」や、「そもそもチームがその課題感を持っているのか」から考え直しました。

    1on1

    1on1の様子

    1on1での学びを日比谷音楽祭のプロジェクトでアウトプット

    1on1で相談させていただいた結果、まずは放置され改善できていない課題をどうするかを議論する会を設定し、そこで課題の認識をそろえました。 この会を実施する以前は開発チーム全体で集まって話す機会がなかったのですが、いざ開催してみると各々が共有しきれていなかった課題が非常に多くあることがわかり、開発チーム全体で振り返り会が必要であるという合意を取ることができました。 その次の週から実際に定例MTGを設定し、KPTを用いた振り返りを実施しました。

    まとめ

    読書会->実務->1on1のサイクルを回すことで以下の成果が得られました。

    • 実際の課題は複雑で、本で学んだことをそのまま適用するだけではうまくいかないので、何が課題で課題はどこにあって何が原因なのか、その解決策として自分が取ろうとしているアプローチが適切か、それ以外のアプローチはないのかを考える必要がある
    • 自分が長年持っていた苦手意識も、インプットとアウトプットを適切に繰り返すことである程度改善することができる

    また、一緒にインターンをしていた人から「木村さんのおかげでアプリチームはとてもハートフルでしたよ」といってもらえたことがありました。読書会で知った知識をそのまま取り入れるだけでは全くうまくいかず、自分としては反省点が多かったのですが、そのように感じてもらえて少しでもチーム開発を良い方向に進められていたら嬉しいです。 このインターンで得た学びを生かし、入社してからどんどん活躍していきたいです。 最後までお読みいただきありがとうございました。

    最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
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