はじめに
こんにちは、DeNAのエンジニアリング室に所属している本山と申します。
このブログは、 技術広報 Advent Calendar 2022 の1記事です。ということで、今回はタイトルにあります通り、技術カンファレンスで流す企業のCM動画の制作について、「DeNAはこういう作り方をしています」という制作の流れを簡単にご紹介したいと思います。自分では無意識にやっていた部分も思い出しながら、言語化したので『これから技術カンファレンスで流す企業CMを作ってみたい!』という方の一助になれば幸いです。すでにこういった制作業務をされている方にとっては「当たり前」のことしか書いていないかも知れないですが、気づきや、ご共感いただける箇所があれば嬉しいです。
DeNAはどんなCMを流しているの?
まずは2022年に公開したCM動画をいくつかご紹介したいと思います。
iOSDC Japan 2022 幕間CM
RubyKaigi 2022 幕間CM
FlutterKaigi 2022 幕間CM
Kotlin Fest 2022 幕間CM
2022年は、このような動画を、技術カンファレンスイベントに協賛し、スポンサープランのCM動画の要件に合わせて15秒〜30秒の動画を制作し、提出していました。
制作体制
DeNAには、映像制作やライブ配信業務も担っているeスポーツ部企画制作グループという部門があります。(参考: 「ソフトウエアエンジニアがライブ配信制作チームを立ち上げました」 )
技術カンファレンスで流すCM動画制作は、毎度この部門に協力いただきながら制作しています。CM内容については、企画からご依頼する場合もあれば、エンジニアリング室側で考えて制作協力依頼するケースもあります。
上記の例の中ですと、「RubyKaigi 2022 幕間CM」は、エンジニアリング室からeスポーツ部に企画から制作までまるっと依頼した事例です。その他は、企画や制作に私も携わらせていただきました。
制作期間
場合にもよりますが、私の携わったケースだと、最も制作期間が長かったものは、 「CTOが訊く」 というコンテンツと絡めて撮影するパターンでした。
というのも、カンファレンス時期に合わせて、2021年頃から「CTOが訊く」というシリーズ掲載をしていて、CM動画のみならず、ブログ記事やYouTubeに掲載する全編動画の編集をする必要があったため、通常より長めのスケジュールを引く必要がありました。
だいたいCM動画提出日の2ヶ月くらい前から出演者、撮影場所、スタッフ、企画を検討し始めていました。提出日の1ヶ月前には収録を終えて、編集をスタートするケースが多かったです。
「CTOが訊く」は、全7回実施されましたが、この内5回は技術カンファレンスのCM動画に絡めた形で掲載されました。カンファレンスでCMをご覧になった方の誘導先として、コンテンツを用意しておいて、イベントと一緒にブログや映像コンテンツを楽しんでもらうという目的での施策でした。つまり、技術カンファレンスの幕間CMだけではなく、CMを見た先のコンテンツを用意する必要があったために、上記のような時間を要していました。
制作の流れ
基本的に映像制作は、「企画→撮影→編集→チェック→納品」という流れで、ウォーターフォール型の進行になります。例えば、編集段階に入ってから、撮影をもう一度やり直そうとすると工数がかかりすぎます。できるだけ出戻りが無いようにするのが良いです。そのためにできるだけ早い段階から不確実性を潰しておくことが重要だと考えています。
企画と準備
まずは、カンファレンスイベントの開催日程を確認します。前年度と同じ時期に開催されることが多いので、スケジュールをざっくり把握しておく必要があります。 スポンサーメニューが提示され、スポンサー契約が進み、実際に動画を制作することになったら、企画案を作成して、各所に確認依頼することから始まります。
企画案に記載していたのは次の事項です。
- メインテーマ
- 企画概要
- 想定視聴者
- 視聴した視聴者に期待するUX
- 訴求ポイント
- 出演者
- スケジュール(日付 / 発生する作業 / 担当者など)
- コンテンツ(「CTOが訊く」の場合は、想定質問)
「CTOが訊く」の場合は、20分〜30分のインタビュー映像から良さそうなシーンを抜粋してCM制作していたため、プロットや絵コンテのようなものは作成していませんでした。
CM動画のみを制作される場合は、指定された秒数に合わせて、プロットや絵コンテを作成しておくと、制作が大変スムーズになります。また「どういった画を撮影したいのか」が、撮影するメンバーに伝わっていないと、用意する撮影道具も異なってきてしまうので、制作したいイメージに近い動画や、雰囲気が似た画像を用意して、先んじて当日対応してくださる方にお渡ししておくのが良いと思います。
例えば、カメラマンや編集を対応するメンバーがいる場合は、用意されたイメージから、映像の明るさや色合い、カメラの被写界深度や画角などを読み取り、完成イメージを撮影前から作ることができます。オフィス内で撮影する場合も、時間帯によって窓からの光の入り方が変わるので、撮影を予定している時間に合わせて、ロケハンも実施しておくと安心だと思います。
CM内でのセリフに関しても、ストップウォッチで何秒くらいかかるのか計っておくと、想定とのズレが減るので、そこまで準備するようにしています。
また、CMで利用するBGMなど、アウトプットイメージに繋がるものは共有するようにしています。
撮影
ここでは、アニメーションのみのCMや、ナレーションのみのCMではなく、会社のメンバーなどを実際に撮影するような想定で書き進めます。
元々私がカメラマンをやっていた過去キャリアがあるので、撮影のあれこれを書き始めると、それだけで4記事くらい書けそうなので(笑)、ここではこれから動画撮影を始めたい方に向けて、2つアドバイス的なことを書きたいと思います。
1つ目は、「三脚を使う」です。アクションカムのCMのような映像が撮りたかったり、あえて手持ちによる臨場感を演出したい場合は別ですが、三脚を使うだけでも、だいぶ映像が成立しやすくなります。スマホカメラを手持ちでサクッと撮るのもアリですが、ぜひカメラを固定した状態で撮影をしてみてください。編集時点で、「手ブレひどくなかったら使えたのにな。」みたいなことがあると、勿体ないです。
2つ目は、「ノイズに気をつけよう」です。オフィス等で撮影される場合も、ノイズが入りやすい環境だと思いますので、できる限り静かな状態で撮影されることをおすすめします。後からノイズを一定消すこともできますが、映像素材はできるだけ良い状態の方が、編集時点で手間が減るので、例えばエアコンなども消しておくと良いです。
映像のピントが少し合っていなかったりすることよりも、音声に少しノイズが入っている方が不快に感じるケースが多いです。オンラインのイベントに、イヤフォンやヘッドフォンをして参加されている方も多いだろうと思うので、ノイズもクリアに届いてしまうので気をつけています。
上記2つは、編集のことも考えた撮影アドバイスでした。前述しましたが、基本的にウォーターフォールの流れで制作が進行するので、後々のことを考えながら、工程を進めています。
編集
動画編集ソフトは、AdobeのPremiere Proを利用しています。私の場合は、先に音楽の使う部分を決めておいて、それに合わせて映像クリップを乗せていくような制作手順を取ることが多いです。メリットとしては、音と映像が合った状態でアウトプットされるので、見ていて気持ちいい映像になります。
After Effects等でシェイプアニメーションを制作する場合も、音楽に合わせて、イージング等を駆使しながら「気持ちよさ」を追求して、微力ながらもクオリティの高い映像にするために努めています。
また、CMが急に大きな音で始まると、不快感につながってしまうことがあるので、気になればフェードインするようにしています。CMへの不快感は、企業に対するマイナスなイメージを形成してしまう恐れがあるので、気になる箇所があれば、編集でできる限り対応するようにしています。
おわりに
技術カンファレンスの幕間CMは、採用含めいろんな目的で作られているかと思いますが、例えば「カンファレンスを楽しんでいる方にCMをコンテンツとして楽しんでほしい」「自社での取り組みを伝えて技術コミュニティを盛り上げたい」など、スポンサードする技術コミュニティや参加者の方々への「想い」が根底にあると、技術カンファレンスに参加されている方から好感を得られるようなCMやコンテンツを作れるのかなと思います。自戒を込めて。
今回は、「幕間CM」という切り口でしたが、引き続き様々な接点でIT業界を盛り上げられるように励んでいきたいと思います。
読んでくださった方の参考になる事項が1つでもあれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
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