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2022.07.07 イベントレポート

DeNA TechCon 2022 ふりかえり

by Daisuke Tamada

#denatechcon

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こんにちは!DeNA TechCon 運営の玉田です。 2022年3月17日に DeNA TechCon 2022 を開催し、約2700人の方々に当日視聴いただき、開催後から6月末までの間に約5,500名の方々にアーカイブ動画を視聴いただきました。また、視聴いただいた皆様から約250のアンケート回答をいただきました。視聴いただいた皆さま、アンケート回答いただいた皆さま、Speaker はじめ本イベントにご協力いただいた皆さま、どうもありがとうございました。

本稿では非常に多くの皆様に視聴いただいた DeNA TechCon 2022 を題材に、どのような設計を行い、実施してどういう結果となり、どんな課題が明らかになったか、ご紹介します。

DeNA TechCon 2022 の設計

オフラインとは全く異なる体験だったオンラインカンファレンス 昨年度の DeNA TechCon 2021 では、オンラインの良さを活かし

  • 事前登録は不要で登壇をみることができる
  • 仕事の隙間時間に登壇をみることができる
  • オープンにTwitterでコメントすることができる
  • オープンにTwitterで登壇者に質問できる

というような特徴をもって実施しました。それぞれ参加者にとっては良かった点もあるのですが、カンファレンスの Organizar としてはいくつかの課題を感じました。

まず、参加者それぞれが都合の良い好きな時間に登壇を見ることができるため、カンファレンスの醍醐味であった、聴講者同士での「あっちが面白かった」「次これ聞こう」「あの内容って…」という雑談がなくなってしまいました。

次に、「あとで見れる」という前提があったため、オンライン登壇は、よほど興味を惹くテーマや内容でなければ「聞き流す」体験になりがちで、「集中して話を聞いて自分も考える」という体験を提供しづらかったです。

最後に、Twitter を活用した実況と質疑を求めていましたが、Tweet 内容が誰にでも見られるオープンすぎる場は書き込みの心理的ハードルをあげ、結局は実況も質疑もあまりコメントいただくことが出来ませんでした。

オフラインのカンファレンスの体験をオンラインで

今回実施した DeNA TechCon 2022 では、このような課題を改善すべく、 体験のキーワードを「オフラインのカンファレンスの体験をオンラインで」としつつ 以下のような工夫を設計として取り入れました。

  • 事前登録があり、登壇を見逃さないようにリマインドしてもらえる
  • 当日は仕事の隙間時間ではなく、指定したイベント時間に登壇を実施
  • クローズドな Discord でコメントすることができる
  • クローズドな Discord で登壇者に質問できる

まず、事前登録があることで「お、友人/知人のあの人も参加するのか」と気づきやすくなり、参加者同士の交流、雑談が生まれるきっかけをつくりました。

次に、事後のアーカイブ公開が無い、当日指定した時間だけのコンテンツとして「社内技術コミュニティの公開勉強会」「Ask the Speaker」を提供することで、集中して話を聞き、自分も考えるというきっかけを作りました。

最後に、オープンすぎる場だと、書き込みや登壇者への質問に「高めの心理的ハードル」が発生してしまうため、クローズドなコミュニケーションツールとして Discord を活用することにしました。

なお、この Discord は様々な技術カンファレンスで活用されていたものの、企業主催の技術カンファレンスでは私が知る限り活用事例がなかったため、「企業主催技術カンファレンスでも Discord は有効に活用できるか」を試したことにもなります。

DeNA TechCon 2022 の結果

これらの工夫をとりいれた DeNA TechCon 2022 がどのような結果となったか、ご紹介します。

概要

DeNA TechCon 2022 は、本当に多くの方々によって参加、視聴いただき、とても多くのアンケート回答をいただくことが出来ました。

  • 事前の connpass 登録者数:2,395人
  • 視聴者数:当日 2,610人、後日 約5,300人(2022年6月22日時点)
  • 視聴回数:当日 16,610、後日約8,200(2022年6月22日時点)
  • アンケート回答数:250件

満足度

イベント全体についての満足度をご紹介します。比較のため DeNA TechCon 2018〜2021の満足度も表示しています。DeNA TechCon 2022 は昨年の DeNA TechCon 2021 から NSAT の値を約10ptもあげることができました。

DeNA TechCon 全体満足度 NSATの推移

オンライン技術カンファレンスの評価と課題

多くの視聴者の皆さま、関係各位から様々なご意見もいただき、運営として振り返ったポイントをこちらでご紹介します。

Discord 活用の評価と課題

今回の DeNA TechCon 2022 では、Disocrd を利用いただけるとより楽しめる設計にしていました。一部の参加者では、 Discord の利用をためらわれる方もいるかと思い、Discord がなくても視聴できるような設計にしていました。

結果としては61.7% と過半数の方々に Discord を利用いただけましたが、少なくない割合である 38.3% の方々に利用いただけませんでした。

DeNA TechCon 2022 Discordの利用割合

なお、Discord を利用した人の満足度と、Discord を利用しなかった人の満足度には統計学的に優位な差があり(5%有意水準で差があると言える)、Discord を利用した人の方が満足度が高かったです。

DeNA TechCon 2022 Discord利用別満足度の違い

参加いただいた方に Discord の利用のどんなところが良かったか聞いてみたところ、以下のような結果になりました。

DeNA TechCon 2022 Discord利用のよかったところ

  • セッション中に登壇者とやりとりができた
  • Ask the Speaker で登壇者へ質問ができた
  • いろいろな人の意見やコメントを聞いて勉強になった

という3点が割合としては多かったため、自社技術カンファレンスで Discord を活用する際には、登壇者と参加者のコミュニケーションをサポートする仕組みが重要だと思われます。

コミュニケーションツールの評価と課題

参加いただいた方々に「オンラインカンファレンスの開催形式としてどの方法がコミュニケーションを取りやすいか?」と聞いたところ、動画とは別のコミュニケーション手段としては以下の方法が望まれるという結果になりました。

オンラインカンファレンスの開催形式の希望

多くの方々が Discord を推していたものの、 YouTube チャットや、Twitter などを望まれる方々も一定数いらっしゃいました。

現時点では、まだまだ Discord の利用をためらわれる方も約半分近くはいるため、Discord の良さを訴求して Discord 利用を増やす活動を行いつつも、Discord 使わずにカンファレンスを視聴する方々への配慮も必要となるだろうことがわかりました。

事前収録の評価と課題

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DeNA TechCon 2021 ではカンファレンスの1ヶ月前に収録し、そこから不要部分をカットし、別撮りしたスライド映像やその他画像を合成するという手法をとっていました。

事前収録で加工を行う場合、加工したあとの映像を登壇者に確認してもらう必要があり、約30人のエンジニアがそれぞれ数時間かけて確認し、修正が必要であればそのぶんまた映像加工担当者とのやり取りが発生していました。

このやりとりの負担を減らすべく、DeNA TechCon 2022 ではカンファレンスの1週間前に、ライブ配信を行っても良いレベルの収録を実施しました。収録時に登壇者の撮影、スライド、音楽、その他要素を全て合成し、一発撮りをしてしまう、というものでした。

一発撮りの場合、噛んでも修正できないというデメリットはありますが、収録後に加工を行う必要がほとんどないため、収録をイベント直前に実施できるというメリットがあります。

実際にやってみて、「登壇者がギリギリまで資料を準備できること」「登壇者の負担が減ること」の2つは登壇者からの評価も高く、今後も継続したいと思える収録形式でした。

DeNA TechCon 2022 では一部当日ライブ配信した登壇もあったのですが、ライブ配信だと収録後すぐに Disocord での Ask the Speaker に対応できない(収録場所の移動時間が発生する)という課題もあったので、全体としては事前の一発撮りに寄せつつも、ライブ配信で課題に感じた収録方法の見直しも行う予定です。

おわりに

DeNA TechCon 2022 を開催するにあたって設計したこと、開催した結果、そこからの学びについてご紹介しました。記事を見ていただいた皆さま、イベントに参加いただいた皆さま、どうもありがとうございました。

今後も皆さまにとって「参加してよかった」と思ってもらえる技術カンファレンスを開催していきたいと思っています。また次回の DeNA TechCon についての情報も発信していきますので、よろしければ DeNA 公式 Twitter アカウント @DeNAxTech をフォローして下さい!

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
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