技術カンファレンスで Call for Proposal が始まったり、自社で技術イベントが開かれる際、同僚から「ぜひ登壇してみてよ!」と言われたことは無いですか?
技術系の登壇をしたことが無い人にとって、「登壇資料作成」は大きなハードルになると思われれます。 DeNA TechCon などでも、登壇が初めてで、登壇資料を作成するのに苦労するエンジニアの方がいらっしゃいます。
それら登壇資料を初めてつくる方々をサポートしてきた技術広報の経験から、登壇資料をどのようにつくるとよいか 「サクッとわかる!」 ぐらいの文量でご紹介します。
概要
こちらの記事では以下の手順をご紹介します。
- ターゲットとメッセージを考える
- 伝えたいことに関連しそうな内容をとにかく沢山書く
- ストーリーラインをつくる
- スライド化する
- スライドの質を高める
1. ターゲットとメッセージを考える
- 自分の登壇は 「分かる人だけが分かる専門的なもの」 で良いのか。それとも 「専門外の人でも分かるようなもの」 にすべきなのか。
- この登壇を見た人に、 メッセージとして結局は何を伝えたかった のか。
これらが整理されていないと「分かりづらい記事」になりやすいです。
そのため、初めての方をサポートする際にはまず
- この登壇はどんな視聴者をターゲットとしたいのか
- この登壇で視聴者にどんなメッセージを伝えたいのか
の2つが何なのか、相談して決めるようにしています。
ターゲット が明確だと、登壇資料を書いていて以下を判断しやすくなります。
- 登壇資料作成を進める上での技術専門用語のレベル感
- それぞれの技術的工夫に詳細な説明が必要か不要か
メッセージ が明確だと、以下のように資料作成にかかる時間を大きく減らし、登壇内容をスリムにすることが出来ます。
- 関連しそうな山程ある情報の中からメッセージにマッチするものを探しやすい
- メッセージにマッチしないものを削ぎ落としやすい
2. 伝えたいことに関連しそうな内容をとにかく沢山書く
メッセージが決まったら、すぐにスライドをつくり出すのではなく、その伝えたいことに関係しそうな情報をまずは全て書き出してもらっています。
全て書き出すことで以下のようなメリットがあり、登壇資料作成のサポートを行う上でとても有効なので毎回オススメしています。
- 自分の脳内の情報を二次元的に書き出して、二次元的に整理できるようになる
- 関係者に見てもらうことで、整理を手伝ってもらうことができる
- 関係者に見てもらうことで、自分では「当たり前」と思ってたことに価値があることが分かる(場合がある)
3. ストーリーラインをつくる
関係しそうな情報を二次元的に俯瞰してみたら、その中から特に伝えたいことを集め、1つのストーリーラインをつくります。
このストーリーラインは以下に注意しながら作成すると、視聴者にとってもわかりやすいものになるかと思います。
- 3-1. 視聴者からみて一連の流れになっているか
- 3-2. 視聴者からみて構造的な話になっているか
3-1. 視聴者からみて一連の流れになっているか
登壇資料をつくる経験がない方が陥りがちなのが「登壇者からみた一連の流れ」をつくることです。
例えば、以下のような流れの登壇です。時系列には沿っており、登壇者からみた一連の流れになっています。
- A という プロジェクト の担当になった
- A という プロジェクト の要件を確認した
- A という プロジェクト で B というアプローチで実装をした
- A という プロジェクト で C という結果になった
一方で、視聴者が期待する流れは以下のようなものになります。
- A という プロジェクト を担当しており、A はこういう特徴がある
- A という プロジェクト であるとき D という課題に直面した
- D という課題に対して既存のアプローチはこういう物がある
- D という課題に対して B というアプローチをとってみた
- D という課題に対して C という結果になった
技術系登壇の多くは課題解決の話であるため、上記のように視聴者目線でストーリーをつくると、わかりにくさを回避することが出来ます。
3-2. 視聴者からみて構造的な話になっているか
「構造的な話」も登壇者目線と視聴者目線では大きく乖離が生まれがちです。
例えば、とある登壇者が以下の年代別に担当事業で起きたことを分類するとします。
- 新規事業開始1年目
- 新規事業開始2年目
- 新規事業開始3年目
上記のままであれば、視聴者からするとそれぞれの年で何があったか聞かないと分かりにくいです。この分類に名前をつけてみます。
- 新規事業開始1年目:立ち上げ期
- 新規事業開始2年目:仮説検証期
- 新規事業開始3年目:グロース期
各年でおおよそ何があったか、登壇者だけでなく視聴者にも理解できるようになりました。
構造的な話をする際には、なぜそういう分け方をしたか視聴者に伝わらないことがあるので、視聴者目線で補足を加えたり、視聴者目線での分類をすると、わかりにくさを回避することが出来ます。
4. スライド化する
ストーリーラインができあがったら、その内容をスライド化していきます。 ここまでの準備がしっかりと出来ていれば、スライド化すること自体はさほど苦労しないと思われます。
一方で、スライド化で使うツール等を間違うと、その後手戻りが大きくなってしまうので、以下を事前に確認しておきましょう。
- 資料をどんな関係者にみてもらうのか
- 会社の公式なスライドテンプレートがあるのか
- AWS や GoogleCloud などの公式から、スライド用に配布されているイラスト素材/ロゴ素材があるか
登壇資料を多くの人々に確認して貰う場合、確認してくれる人がプレゼンツールを持っていない可能性があります。関係者が多い場合は、スライド化する際に Google Slide などオンライン上で確認できるツールをつかうと良いかと思われます。
5. スライドの質を高める
登壇に慣れているエンジニアほど、登壇資料は早めにいったんつくり終え、その後の磨き上げに時間をかけているかと思われます。
ベストトークになるほどの磨き上げ方については、以下DeNA エンジニア Kuniwak さんの記事をぜひご覧ください。
こちらでは 「登壇見たけど、わかりづらくて、よく分からなかった」 を少しでも減らすため、分かりづらい登壇資料がどんなものかご紹介します。
分かりづらい技術系登壇資料とは、以下にあてはまるものが多いと思われます。つくった資料が下記にあてはまるか確認し、あてはまる項目があればぜひ修正してください。
- 想定視聴者が調べないとわからないような専門的な技術用語が多い
- 自己紹介が長すぎる(登壇本編と関係が薄い自己紹介が2分以上つづく)
- 資料が長く、今何の話をしているか視聴者が迷子になりやすい
このうち 「資料が長く、今何の話をしているか視聴者が迷子になりやすい」 は、以下のような対応を行うと防げると思われます。
- 登壇内容全体のアジェンダを随所に入れる
- 忘れた頃に背景や前提をもう一度確認する
- いま全体のうちどの部分の話をしているか説明する
おわりに
以上、 DeNA Advent Calendar 2021 Day4 の記事として登壇資料のつくりかたをご紹介しました。「登壇資料をつくる」となるといきなりスライドをつくってしまいがちですが、 「書く前の準備」 と 「書いた後の磨き上げ」 をしっかり行うことで、登壇経験が少なくても分かりやすい登壇資料をつくることが出来ます。
これから登壇しないと行けないけど、どうすればよいか分からない、という方にサクッと読んで理解していただき、少しでも助力になれば幸いです。
DeNAでは今年、2021年度新卒エンジニア・2022年度新卒内定エンジニアの Advent Calendar もあります!本 Advent Calendar とは違った種類、違った視点での記事をぜひお楽しみください!
▼DeNA 2021年度新卒エンジニア・2022年度新卒内定エンジニアによる Advent Calendar 2021
https://qiita.com/advent-calendar/2021/dena-21x22
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