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DeNAのエンジニアが考えていることや、担当しているサービスについて情報発信しています

2021.12.19 カルチャー・環境

エンジニア組織改善のための組織状況アンケートの実施

by Kei Tachibana

#engineering manager #organization development #survey

こんにちは、CTO室の立花です。 この記事は、 DeNA Advent Calendar 2021 に向けて作成しました。エンジニア組織改善というテーマで、各企業で様々な取り組みをされていると思います。組織改善や組織づくりの過程で実施頻度が高そうな、エンジニア組織向けのアンケートの実施例について書いてみたいと思います。

チームの紹介

CTO室は”エンジニアが働きやすく成果につながる環境づくり”をミッションとした組織で、エンジニア出身のメンバーで構成されたチームです。DeNA のエンジニアが大切にしたい価値観であるDeNA Engineer Quality(DEQ)の浸透、エンジニアリングマネージャーの支援、エンジニアリングに関連する研修の実施、対外的な技術ブランディング、エンジニア採用の支援など、全社横断的な取り組みを中心に活動しています。前回の記事も参考にしてください。

どういう話?

この記事では、エンジニアの組織改善というテーマに沿って、アンケート実施にあたって何を目指し、何を指標とし、どういう設問設計を行ったか、というアンケート設計の話と、アンケートの実施方法や運用について紹介します。日々、エンジニアリングマネージャーは組織改善に取り組まれていると思いますが、そういったエンジニアリングマネージャーがエンジニア組織向けのアンケートを実施される際に、参考になれば幸いです。

アンケート実施の背景

より良いエンジニア組織を作っていくためには、個々のエンジニアが取り組むだけではなく、メンバーがエンジニアリングしやすいようにエンジニアリングマネージャーが環境を整備してことが重要だと考えており、CTO室ではエンジニアリングマネージャーの支援に取り組んでいます。

エンジニアリングマネージャー支援のための土台作りとして、以下にフォーカスして取り組みました。

  • ① エンジニアリングマネージャーがエンジニア組織の状況を把握できること
  • ② エンジニアリングマネージャーに求められる職務が明確化されること
  • ③ 新任のエンジニアリングマネージャーがマネージャーとして立ち上がること

本稿では、①の具体的な取り組みとして、エンジニア組織向けのアンケートについて紹介します。アンケート実施の目的は、エンジニア組織の状態を定点観測して、組織づくりに必要な情報としてマネージャーに提供し、振り返りや今後の取り組みの検討に活用してもらうことです。

アンケートの設計

アンケートの設問の検討に入るまえに、どういうエンジニア組織を目指すのか、どういったアプローチでエンジニア組織の改善をおこなうのかを明確にします。目指す姿やアプローチにそって、定点観測する指標を決め、具体的な設問設計を行いました。

どういうエンジニア組織を目指すのか

DeNA Engineer Quality(DEQ)は DeNA のエンジニアが大切にしたい価値観を明文化したものです。DeNA はこの価値観が重視され、体現されやすい組織を作りたいと考えています。DEQ の詳しい内容は以下の記事を参考にしてください。

どうアプローチするのか

一方、DEQ の体現のさまたげとなるエンジニアの組織的な課題が存在します。各部門のエンジニアリーダを集めたエンジニアボード陣との議論であったり、また現場エンジニアへのインタビューやアンケートから、部門固有ではなく全社の共通的な課題が存在すると考えています。例として以下にあげます。

  • 多様な案件に対して、最適な開発体制の検討がされていない
  • 制度として全社貢献・横断的貢献が評価されず、行動に結びつかない
  • 村化が進行して、全社で知見と人材が有効活用できていない
  • DeNAのエンジニアリングが社外に適切に伝わっていない
  • 開発体制が大規模化していて、マネジメントが極めて難しい
  • etc…

こういったエンジニアの組織的な課題を経営やマネージャー陣と協力して継続的に解決していくことで、DEQ が体現される組織につながると考えています。また、DEQ が体現される組織づくりが進むことで、プロダクトの成功確率が上がったり、エンジニアの満足度が向上すると考えています。

まとめると、組織的な課題を解消する → DEQ が体現される組織となる → プロジェクトの成功確率やエンジニアの満足度が向上する、といったアプローチを考えています。

何を指標とするか

目指すエンジニア組織やアプローチにそって、定点観測すべき指標の検討を行います。

DEQ の体現状況

各部門において、DEQ の価値観が重視されDEQ が体現されているかを把握するために、DEQ の体現度を指標として設定しました。また、DEQ の価値観は重視されても、体現しやすい環境がなければ体現にはつながりません。環境づくりのキーマンはエンジニアリングマネージャーであることから、マネージャーの支援度合いを指標として設定しました。

組織的な課題の状況

各部門において、それぞれの組織的な課題がどの程度発生しているかを把握するために、組織的な課題の度合いを指標として設定しました。

プロダクトや満足度への影響

DEQ の体現が進むことで、プロダクトの成功確率やエンジニアの満足度の向上につながると考えています。ただ全てを把握することは難しく、現実的に計測可能な指標として、DeNA で働くことを周囲のエンジニアに勧めたいかを把握するために、eNPS(Employee Net Promoter Score)を指標として設定しました。

設問設計

定点観測すべきそれぞれの指標について、具体的な設問内容を検討します。設問設計のノウハウはオンライン上に多く存在するため、それらを参考にしながら検討しました。

定点観測が必要な項目については、推移を把握するために定量的なスコア項目で設計しました。工夫した点としては、スコアリングの理由であったり、新たな組織的な課題の発生を把握するために、定性コメントの記述項目を追加しました。またこのアンケートは定点観測を目的としているため、運用フェーズにおいて設問内容の変更は最低限に留めるようにしています。

アンケートフォーム例

アンケートの実施

実施

エンジニアの組織改善のサイクルとアンケート回答の負荷を考慮して、実施は半期に一度としました。実施タイミングは、期末の振り返りと来期の目標設定に活用してほしいという意図で、期末に実施する運用としました。

アンケートは google form で作成の上、Slack やメールでアンケート回答を依頼し、未回答者にリマンドを行います。マネージャーがメンバーへの回答を促すために部門ごとのアンケート回答率をフィードバックする手法は、一定有効かもしれません。

運用

フィードバック

エンジニア組織の状態を定点観測して、組織づくりに必要な情報としてマネージャーに提供し、振り返りや今後の取り組みの検討に活用してもらうことを目的としており、マネージャーが活用しやすい形で提供します。

  • フィードバックシートは部門ごとに作成。回答の平均値、全社との差分、前回との差分がわかるように集計
  • フィードバックシートの見方や活用方法のマニュアルを提供

アンケート結果の活用マニュアル(社内ではエンジニア向け組織アンケートをDEQサーベイと呼んでいます)

全社エンジニア向けには、アンケートの実施レポートとして全社のスコアサマリや定性コメントの抜粋を社内 wiki にまとめて、共有しました。 また、経営にとってエンジニアリングは重要な要素であることから、経営陣にも結果のサマリーを報告しました。

ふりかえり

各部門で組織状況の把握と今後の取り組みの検討をしてもらうため、各部門へ振り返りの実施を依頼しました。また、各部門での振り返りの実施後に、本部単位でふりかえりの結果を吸い上げたうえで、エンジニアボードの面々でお互いの結果を共有し、継続的に検討すべき課題について議論しました。

事例の全社共有

エンジニアリングマネージャーの支援を後押しするために、アンケート結果から DEQ の支援として良い取り組みを拾い上げ、事例として社内報で全社に展開しました。例えば、以下の記事は、部内でエンジニア向けの学習支援制度が運用されており、制度設計の背景や意図、その結果を紹介しており、他のマネージャがどのようにDEQの体現を支援するのかの検討材料につながると考えます。

事例紹介のための社内報

まとめ

エンジニアの組織改善というテーマに沿って、アンケート実施にあたって何を目指し、何を指標とするか、どういう設問にするかといったアンケート設計や、アンケートの実施方法や運用について紹介しました。

進め方やアンケート内容がそのまま使えるわけではないですが、今後エンジニアの組織改善に取り組まれる方にとって、事例として参考になれば幸いです。

回答率の改善が必要であったりと課題は存在していて、継続的に運用改善に取り組む必要があります。それらについては、また機会があれば報告できればと思っています。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
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