こんにちは!DeNA TechCon 運営の玉田です。
2021年3月3日に DeNA TechCon 2021 を開催し、約4,000人の方々に視聴いただき、約750のアンケート回答をいただきました。ご視聴いただいた皆さま、アンケート回答いただいた皆さま、Speaker はじめ本イベントにご協力いただいた皆さま、どうもありがとうございました。
昨今コロナ渦でオフラインの技術系カンファレンスが開催できず、代わりにオンライン開催が試行されていますが、オフライン開催で蓄積してきたノウハウを活かせず困っている方々も多いと思います。また「技術カンファレンス」は頻繁には開催できず、開催にあたり参考となる他オンライン技術カンファレンスも少ないので、主催する方は大変だと思われます。
本稿では約4,000人に視聴いただいた DeNA TechCon 2021 を題材に、どのような設計を行い、実施してどういう結果となり、どんな課題が明らかになったか、ご紹介します。
DeNA TechCon 2021 の設計
「スキマ時間で知見を得られる」という特徴
「スキマ時間で知見を得られるオンラインカンファレンス」 として、以下の特徴があるカンファレンスとして設計しました。
- セッションは 25分 と 40分 の 2 種類
- スキマ時間を埋めやすい、XX:00 開始 or XX:30 開始のセッションのみ
- 興味あるセッションを個別にカレンダー登録できる
- リアルタイム視聴であれば Speaker が Twitter で質問に答えてくれる
- リアルタイム視聴であればアンケート回答して抽選でプレゼントGET
オンライン技術カンファレンスでは「視聴者が丸一日時間をおさえてくれる」という前提がなくなり、Meeting や作業時間のスキマで視聴いただく事を前提としなければならないと考えました。そのため、他の Meeting などと同じように自分のカレンダーの予定にセッション視聴予定を入れていただきやすいよう、セッション時間の長さや開始時間、セッションページからカレンダー登録をしやすくするなど工夫しました。
また、当日視聴者の皆さまが実況したり質問するような「盛り上がり」を大事にしたかったので、イベントを 1day に集中させたり、リアルタイム視聴のメリットをあえて入れるなどしました。
視聴者の体験
視聴者の体験として、以下を意識した設計にしました。
- 事前登録不要で動画を視聴できる
- 登壇動画、登壇資料、実況のTweetが一箇所に集約されている
- タイトルを見るだけでどんなセッションなのか分かる
運営としては、どれぐらいのお客様に参加いただけるか進捗を把握する上で**「事前登録」**はとても大事なのですが、視聴者としては必要な手続きが増えてしまうデメリットとなるので、今回**「事前登録」**は不要としました。運営として事前にどれぐらいの方が視聴いただけそうか全く分からず、とてもドキドキしました。
また、視聴者はタイトルや概要などを見て、興味あるセッションの詳細ページを開けば、動画や Twitter への ハッシュタグ や登壇資料を見ることができるよう、工夫しました。
カンファレンス運営として悩むポイント
その他、カンファレンス運営として悩むポイントは以下としました。
- ライブ配信ではなく事前収録
- 夕方から開催ではなくお昼から開催
- 実況は Twitter に絞り、YouTube のチャットは利用しない
- Ask the Speaker は Twitter 上でのみ行う
こちらの記事 でも悩むポイントとして書きましたが、ライブ配信にするか、事前収録にするかはとても悩ましいポイントです。今回の DeNA TechCon 2021 では「セッション動画の質」を上げたかったこと、視聴者とのリアルタイムコミュニケーションは Twitter でどうにかできそうだと思ったことから**「失敗しても撮り直せる」「編集でより見やすくできる」**という事前収録のメリットを重視し、事前収録としました。
また、 こちらの記事 にも書きましたが、昼 vs 夕方 で夕方開催の方が良いという結果が得られなかったこと、仕事のスキマ時間に見てもらいたかったことから、昼から開催としました。
最後に、DeNA が関わる多くのソフトウェアエンジニアが Twitter を中心にコミュニケーションを行っていることが多かったため、DeNA TechCon 2021 は Twitter を軸とした工夫を随所に取り入れました。
DeNA TechCon 2021 の結果
これらの工夫をとりいれた DeNA TechCon 2021 がどのような結果となったか、ご紹介します。
概要
どれぐらいのお客様に来ていただけるか事前には分からなかったため、運営としては当日まで本当にドキドキしていましたが、結果として例年を大きく超える視聴者にご参加いただけました。
- 視聴者数:UU 4,095人(2021年4月時点)
- 視聴回数:8,689view(2021年4月時点)
- アンケート回答数:730件
視聴者の内訳ですが、過去開催と比べると20代までの視聴者の参加割合が大きく増え、一方で30代後半以降の視聴者の割合が減りました。
オンラインの視聴に変わったことが理由としては考えられますが、アンケートのインセンティブが特に若い方に刺さった可能性もあるかと思われました。
また、DeNA TechCon 2019から Twitter での宣伝を強化していますが、DeNA TechCon 2018と比較し並べて見てみると「Twitter での宣伝強化」と「20代の参加者が増えること」に関連がある、という可能性も考えられました。
満足度
イベント全体についての満足度をご紹介します。比較のため DeNA TechCon 2018、DeNA TechCon 2019の満足度も表示しています。
例年少しずつ改善を積み上げている DeNA TechCon ですが、オンライン開催では今までのノウハウを活用できないことが多かったです。こちら結果としては Speaker をはじめ関係者の皆さまのおかげで、満足度評価の「非常に満足」が10ptも上がり、多くの視聴者に満足頂いた、という結果となりました。
オンライン技術カンファレンスの評価と課題
多くの視聴者の皆さま、関係各位から様々なご意見もいただき、運営として振り返ったポイントをこちらでご紹介します。
開催形式の評価と課題
コロナ渦の影響もありオンライン開催となりましたが、視聴者の皆さまに本当はどちらの形式が良いのか聞いてみました。
- オンライン Web開催の方が良い:約90%
- オフライン 会場開催の方が良い:約7%
結果として、オンライン開催を支持する声が多かったです。ただこちらは
- オフライン 会場開催が良い方々がそもそも参加していない説
- オンライン Web開催で不満を感じた人が回答していない説
などもあり、そのまま鵜呑みにはできないものの、オンライン開催を支持する方が多数いるとは言えるのではないかと思われました。
運営形式についてもアンケートで伺いましたが、今回の DeNA TechCon 2021 では「開催日程」「イベントの時間配分」にて過去開催のイベントと比べてとても高い評価を頂きました。特に時間配分については前回から12ptも上がっており、「スキマ時間で知見を得られる」という形式が評価されたのではないかと考えられます。
一方で、「興味ある講演の見つけやすさ」は前回 DeNA TechCon 2019 よりも評価が下がっているため、より改善が必要であると思われます。
アンケートの評価と課題
DeNA TechCon 2020 ライブ配信 の記事でも振り返りましたが、オンライン開催で難しいのがアンケートの回答です。 DeNA TechCon 2021 では視聴者の皆さまの声をどうしても聞きたかったので、以下のようなキャンペーンを実施しました。
\DeNA TechCon 2021 アンケート回答キャンペーン/
— DeNA Tech (@DeNAxTech) February 19, 2021
3/3(水)開催のDeNA TechCon 2021では、当日視聴して当日中にアンケートに回答した方の中から、抽選で110名にプレゼントします!#DeNATechCon は後日アーカイブされますが、ぜひ当日にご視聴ください!
詳細→ https://t.co/nOcgHBFhnG pic.twitter.com/T1sO6qAy91
こちらのキャンペーンを実施した結果、DeNA TechCon 2020 ライブ配信 に比べ、DeNA TechCon 2021 では多くの方々にアンケート回答をいただけました。(約750の回答をいただきました)回答にご協力いただいた視聴者の皆さま、どうもありがとうございました。
回答率が上がったことはポジティブであった一方で、アンケート回答にネガティブなコメントやネガティブ評価がほとんど見られなかったことから、ポジティブ評価を持つ人にしか回答いただけなかった可能性や、当選を意識してアンケート回答の内容をポジティブにしてしまう可能性が考えられました。このことから、ポジティブな評価を持たない人にも回答いただける工夫が必要だと思われました。
Twitter を軸としたコミュニケーションの評価と課題
今回「YouTube のチャット を利用せず実況をTwitter だけに絞る」「Ask the Speaker は Twitter 上で行う」というように、Twitter を軸としたコミュニケーションの設計を行いました。
セッションごとに事前にハッシュタグを決め、Webサイトからそのハッシュタグに飛べるようにしていたので、「どのハッシュタグで実況すべきかわからない」と迷うことは少なくなったかと思われます。
一方で、Tweet 上での Ask the Speaker は質問した人にしか回答が見えない(見えにくい)状態になっており、セッションの視聴者が色んな人の質疑応答を聞いて理解を深める、という体験は提供できなかったかと思われます。**「リアルタイムに、多くの視聴者が見ている媒体で、質疑応答の対応をする」**ということの大事さに気付かされました。
なお蛇足になりますが、DeNA TechCon 2021 当日の Opening Keynote では、CTO の nekokak さんと DeNA 社員が Zoom で集まってみんなでワイワイ視聴してました。この体験が個人的にはとても良かったので、今後のカンファレンスや勉強会でどうにか再現できないか考えたいと思っています。
事前収録の評価と課題
事前収録では、以下のようなセッションに対し、撮り直しが出来たのが良かったです。実際下記にあてはまるセッションについて、撮り直した後に高評価を得て、 BestTalk に選ばれたものがいくつかありました。
- 収録時間が OVER しすぎてしまった
- 緊張して噛みすぎてしまった
- トークスクリプト考えておらず、事前準備が不足してた
一方で、事前収録には以下のような課題があることがわかりました。ただでさえ忙しく大変なエンジニアの Speaker への負担が大きくなることが分かったので、次回以降もし事前収録で実施する場合は、これらの課題を解消する必要があるとわかりました。
- 収録後の編集に時間(今回は1ヶ月)がかかり、締め切りが早くなり Speaker への負担になった。
- 動画公開後に問題が発覚しても、修正をすぐに行えず、臨機応変な対応が出来なかった。
- ライブ配信に比べ視聴者が求める完成度が高く、Speaker への負担になった。
- 収録、編集後のチェック、修正後のチェックなど、Speaker の時間を多くとられた。
その他、様々な方々からセッションの「音」についてご指摘頂きました。運営としてはセッションの内容を良くすることに集中しており、音についてあまり気にしてなかったのですが、オンラインの視聴においてこの**「音」**についてかなり注意する必要があると学びました。この音について、今回は事前収録・編集であったため以下のような課題が分かっていたものの当日修正することができず、その点も課題だと思われました。
- セッションの音が全体的に左に寄っていた
- YouTube プレミア公開の音量が大きくてびっくりした
- OpeningMovie の音量と Speaker の音量が違い不快な場面があった
- Speaker ごとの音量の違いが不快な場合があった
おわりに
DeNA TechCon 2021 を開催するにあたって設計したこと、開催した結果、そこからの学びについてご紹介しました。記事を見ていただいた皆さま、イベントに参加いただいた皆さま、どうもありがとうございました。
今後も皆さまにとって「参加してよかった」と思ってもらえる技術カンファレンスを開催していきたいと思っています。また次回の DeNA TechCon についての情報も発信していきますので、よろしければ DeNA 公式 Twitter アカウント @DeNAxTech をフォローして下さい!
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
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