こんにちは。貝瀬です。 ヒューマンリソース部門で、組織開発や人材企画を担当しています。もともとはエンジニア畑の出身でして、4年ほど前に自部門の開発プロセスを改善することを目的にスクラムを導入しました。現在は、社内でスクラムを導入したい人たち、スクラムを実践するなかで困っている人たちをサポートする立場でスクラムに関わっています。
11/16〜11/18の3日間、国際学会派遣制度を利用して、プラハで行われたGlobal Scrum Gatheringに参加してきました。今回のブログでは、1日目に出席したセッションについてレポートします。
Scrum Gathering について
スクラムギャザリングは、大きく分けて、トーク型セッション、ワークショップ型セッション、オープンスペースから構成されるイベントです。Globalを冠するスクラムギャザリングは、ヨーロッパ、アメリカ、その他の地域でそれぞれ1回ずつ、年間3回開催されています。私見ですが、ヨーロッパはスクラムを取り巻く組織や人のテーマが多く、アメリカはスクラムフレームワークそのものやスクラムと相性の良い技術のテーマが多いようです。
ギャザリングが行われたホテルはこんな雰囲気でした。プラハの旧市街という場所にある、観光に便利なロケーションです。
メイン会場です。場所が遠いせいか、アジア圏から参加した方は少なめでした。
Organizing for Complexity
Speaker : Niels Pflaeging氏 Session : Opening Keynote
1日目のオープニングキーノートです。ダイナミックに変化する複雑な市場環境において、ビジネスで成功を収めるためにどのような組織であるべきかという話がされました。
従来の組織の形を左側の図(Industrial Age)とすると、Niels氏の提唱する組織の概念は右側の図(Knowledge Age)となります。Knowledge Ageの組織では、意思決定の権限と顧客とのコミュニケーションを中央層(マネジメント)から外層(現場)に非中央化しています。外層に所属する人たちが市場とのコミュニケーションを通じて学習しながら、意思決定を行っていきます。中央層の人たちは、外層の人たちを必要に応じてサポートします。外層と中央層の人たちの役割は、動的にスイッチします。
このモデルでは、意思決定をするためのナレッジと権限が組織の隅々に分散され、ハイパフォーマンスな組織が実現できるそうです。概要は理解できたのですが、どのようにして実現するのかはまだイメージができていません。書籍も頂いたので、じっくり読み込んで理解を深めたいと思います。
SlideShare にスライドも公開用されています。
From Non-Violent Communication to Potential-Focused Communication
Speaker : Ralph Miarka氏 Session : Talk
コミュニケーション手法に関するトークセッションです。Non-Violent Communication(非暴力コミュニケーション:NVC)とソリューションフォーカスという2つのコミュニケーション手法を組み合わせたものが、Ralph氏の提案するPotential-Focused Communication(ポテンシャルフォーカスコミュニケーション:PFC)ということでした。
NVCでは4つの要素に着目してコミュニケーションを行う手法です。
- 観察(Observation)
- 感情(Feeling)
- ニーズ(Need)
- リクエスト(Request)
PFCでは、より解決策に焦点をあてるため、以下のようなコミュニケーションになるようです。
- Preferred Observation
- Preferred Feeling
- Need
- Solution-Focused Question
例が示されないと分かり難いですね。ということで、Ralph氏が紹介していたサンプルも掲載します。
- When I’ll see that {preferred observation}
- Then I’d be {preferred feeling}
- Because I value {need}
- {Open question} e.g. How could we manage that?
※ 適当な日本語訳が用意できずすみません…
相手との関係性改善、問題の早期解決促進に有用なコミュニケーション手法だということです。色々な方と1on1ミーティングをすることが多いので、今回紹介した4つの要素を意識したコミュニケーションも実践してみようと思います。
Looking Beyond Agile - Using Customer Experience Management (CEM) to Build the “Right” Product
Speaker : De Gregorio, Biase氏 Session : Talk
スクラムでは、 *Build the right thing(正しいモノを作る)*のはプロダクトオーナーの役割、*Build the thing right(正しくモノを作る)*のは開発チームの役割と定義されています。本セッションでは、正しいモノを作るための方法論として、CEM(Customer Experience Management:顧客経験管理)、特にSCO(Successful Customer Outcome)についての紹介がなされました。
SCOはリーンキャンバスと似た用途で用いられるようで、SCOにアラインするようにフィーチャーを定義したり、MVP(Minimum Viable Product)を定義したりするようです。
こちらも資料が 公開 されています。
まとめ
1日目に参加した3つのセッションを、簡単にレポートさせていただきました。次回は残りのセッションをお届けします。
雑記
チェコは個人的に大好きな国の一つです(縁あって、プラハは今回で二度目の訪問となります)。あまりなじみのない国かもしれませんが、日本人に親しみの深いラガービールやピルスナービールは、チェコが発祥だと言われています。ビールに合わせて作っているせいなのか分かりませんが、料理も日本人の口に良く合います。周りに海がないせいか、肉料理が主体です。観光客向けのお店は例外ですが、ビール1杯100円〜200円、メインディッシュ1皿500円程度でお腹いっぱいになることができます。夕食にお腹いっぱいビールと食事を頼んでも、2000円はかからない計算ですね。
次回の雑記ではチェコの町並みをレポートしたいと思います。
専用のビールグラスで提供されるお店が多いです。このサイズだと100円代で飲めます。
メインディッシュにはだいたいクネドリーキ(茹でパン)がついてきます。これが案外美味しいんです。
ザワークラウト(キャベツの酢漬け)のスープです。飲んだ日の翌朝に最高なのですが、これを食べているとまた飲みたくなってきます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
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