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DeNAのエンジニアが考えていることや、担当しているサービスについて情報発信しています

2015.11.19 イベントレポート

げんなま「Anyca」版開催レポート

by fukushima.hitomi

こんにちは、エンジニアの新卒採用を担当している福島です。 先日、学生エンジニアを30名程度お招きして、「現場の生々しい話を全力で届けます」というイベントを実施しましたので、その内容をお伝えします。

今回の登壇者

先日リリースした、個人間のカーシェアリングサービス「Anyca」のサービス責任者とエンジニアが登壇し、開発の舞台裏や、新規事業立ち上げを行う際の苦労などをお伝えしました!

  • 大見(Anyca サービス責任者)
  • 馬場(Anyca エンジニア)
  • 南場智子(司会者)

DeNAが自動車産業に進出した背景は・・・?

ロボットタクシーや駐車場のシェアリングサービスなど、多くの人から注目を集めているDeNAの自動車産業進出。 立ち上げに関わった大見から、この意志決定の背景を伝えました。

短期の利益を追うビジネスだけでなく、中長期で市場を変えるような経営へシフト

eコマース、モバイルゲームなど、比較的短期で大きな売上を作ってきたDeNAですが、ここ数年で、短期的な売上・利益を追う事業だけでなく、時間をかけたとしても市場に大きなインパクトを生むことを目指す事業にも力を入れようと経営方針がシフトしてきています。

既存産業への進出、第一弾はヘルスケア領域

DeNAは2014年に、ファウンダーの南場主導のもと、ヘルスケア領域に進出し、遺伝子検査サービスMYCODEをスタートしました。ヘルスケア事業も、短期的な売上ではなく、インターネットの力で市場を変えようとする中長期的な投資事業の一つです。

2014年にもう一つ、新たな試みをしようと、大見と執行役員の中島が農業や教育など、あらゆる産業を調べ、最終的に辿り着いた結論が、自動車産業でした。

なぜ、自動車産業?

自動車産業は、新車の販売額だけでなく、中古市場、整備市場、カーナビなど、どれをとっても兆円規模の市場です。 また、自動運転技術やシリコンバレー発の新たなメーカー、サービスにより、今後10~20年かけて、世界中で大きな変革が起きようとしている市場でもあります。

この変革は、メーカーやインターネット企業などどれか一つのプレイヤーだけで推し進められるものではなく、保険や法律など、数多くの関係者と一緒に進めて行かなければいけないものです。 DeNAはユーザとの多くの接点を持つことを強みとしながら、これらの関係者と歩みを揃え、一緒に改革を推し進める役割を担うことにしました。

Anycaの目指す世界

Anycaは2015年9月にリリースしたユーザ間のカーシェアサービスです。他のユーザが登録した車を比較的安価で利用することができます。

中には、レンタカーショップなどではなかなか借りれないようなこだわりの車も多数登録されています。利便性を追求した大衆車だけでなく、オープンカーやスポーツカーなど、車に乗ること自体をもっと気軽に楽しんでもらうことがAnycaの狙いです。

実際、多くのドライバーに喜ばれているだけでなく、オーナーとしてAnycaに登録している馬場自身も、「月々の駐車場料金くらいは、Anycaで賄えるようになった」とのこと。 Anycaを通じて自動車をシェアすることで、もっと気軽に2台目の車を買ったり、1グレード上のクルマを購入したり、車の"所有"のあり方を変え「人と車の関係性を、もっと気軽で楽しい物にしたい。」という目標を追い求めています。

リリース初期の手応えは?

色んな車を運転することを楽しんでもらえるという手応えは掴んでいると、馬場が嬉しそうに語ります。 「Anycaでは利用した車のレビューを書けるんですが、そのレビューを見ると本当に喜んで使って貰っていることがわかるので、いつもDBでselectして、開発の励みにしていました。自分だけ楽しんでいるのは申し訳ないので、最近は社内用の管理ツールで新着レビューを見れるようにして、みんなで励みにしています。」

新規事業立ち上げに必要な開発の数々

Anycaの立ち上げは取締役の川崎と馬場のタッグで進められました。 各アプリや開発中のスマートデバイスなど、ユーザが触る部分の開発は川崎が、それ以外の開発は馬場が、という役割分担をしました。

「それ以外」とは?

新規にサービスを立ち上げるとき、ユーザから見えない部分の開発がかなり沢山必要になります。 Anycaで馬場が行った開発の一部を抜粋すると、以下の様になります。

  1. 開発環境の準備
  2. 本番環境のリリース方法
  3. 各種キャンペーンサイト
  4. 保険システム連携
  5. クレカ決済
  6. ユーザーさんへの振込
  7. ユーザー/車/シェア情報管理
  8. カスタマーサポート用ツール
  9. 分析ツール
  10. Hadoop, Vertica, Argus

etc…

これら全ての表に出ない開発を、馬場一人で行いました。 考えて見れば確かに全部必要な開発ではありますが、「新規事業開発」という華やかなイメージの言葉からは想像できないくらい地味で、しかし失敗が許されない仕事が山ほどあり、会場の学生さんも若干引き気味になるほど、生々しく開発の大変さが伝わりました。

その中でも、自動車運転に必須な自動車保険とのつなぎ込みについては、安全に保険会社のシステムと連携するために、インターネット業界ではなかなか見ないような大量の仕様書をベースに開発しました。 DeNAは既存産業・企業との協業を強みにする会社なので、自分たちのやり方を変えて相手に合わせることも求められます。

時には考え方の違いで先方とぶつかったりもしながらも一緒にサービスを作り上げ、今では一緒にお酒を飲みに行く仲になったといいます。

カーシェアと聞いて感じるちょっとした不安を取り除きたい

発表は、馬場からの今後の抱負で締めくくりました。 カーシェアと聞くと、輸入車やオープンカーなど今まで乗ったことのない車に乗れたり、車好きのコミュニティを広げられるワクワク感とともに、知らない人が自分の車を運転することや、知らない人の車に乗ることへのちょっとした不安感も同時に抱きます。

Ayncaはオーナーインタビュー動画や、全面的なカスタマーサポートで少しでも不安を取り除くようアプローチしていますが、まだまだ不安を抱くユーザが多いことも自覚しています。

今いるユーザに満足に使ってもらいながら、多くの人の不安を少しでも取り除くことが今後の目標です。

質疑応答

今回も、多くの興味深い質疑が飛び交いましたが、抜粋して掲載します。

Q. シェアリングサービスは、自動車のオーナーがいないと成り立たないが、どのように優良なオーナーを巻き込んだのですか?

A(大見) これは今でも苦労しているところですが、最初のうちは本当に草の根活動でした。知り合いの、自動車好きの集まるコミュニティに顔を出して説明会をさせてもらって、一緒に呑みに行って、感触がよければ後日電話でまたお願い・・・というような。 そのおかげで、オーナーさんにはほんとに良くしてもらっています。数ある車の中から自分の車が選ばれることが本当に嬉しいらしく、PVやお気に入り数を毎日チェックしていたり、初めてリクエストが届いた時に喜んで電話で報告をくれたり、楽しんで使ってもらえていることが我々の励みになっています。

A(馬場) 自分自身もオーナー登録してるのですが、オーナーは利用されればされるほどアクティブになっていきますね。彼女の誕生日を祝う大切な記念日に自分の車を選んでくれた人もいて、彼女に渡す花束を持って受け渡し場所に登場したり、旅行に行った先でオーナーの自分へのお土産を買ってきてくれる人がいたり、何もしなければ車庫で寝てただけの自分の車が、他の誰かを幸せにしてることが直にわかるので、オーナーとしても、とても面白いサービスです。

A(南場) やはり抵抗がある人がいるというのも理解できますね。でも、日本にある自家用車全体の1%でも登録してくれればそれだけで数十万台の登録になると考えると、シェアリングエコノミーは実は非常に少数のサポーターが支えている世界なんですよね。 その、少数のサポーターたちから熱狂的な指示を得ているという点で、Anycaはとても期待されています。

Q. 新規事業の立ち上げには、強いビジョンや想いが必要だと思っていたが、Anycaに着手したきっかけが市場や数字ということで、ちょっと意外でした。折れそうになった時、どうやってモチベーションを維持するんですか?

A(大見) たしかに、数字が先行した事例ではあるが、チームのサービスへの想いは強いです。 今は、普段乗れない車に乗った時の感動を広げたいと本気で思っています。また、“絶対これを成し遂げたい"という想いがモチベーションの源泉になる人もいれば、“何か大きな事業を成功させたい"という人もいて、モチベーションの源泉は人それぞれで良いと思っています。

A(南場) DeNAの社内でも、想い先行で走っているプロジェクトもあれば、数字先行で走っている物もあります。MYCODEなんかは、完全に私の想いから始まっていますが、遅かれ早かれその市場を攻める価値があるか、DeNAがやる意味があるかはしっかりと調査・検証します。 逆に数字先行の場合でも、結局は徐々に既存のメンバーが想いを強くしたり、社内から、「実は自分もやりたかったんだ!」というようなメンバーが集まってきて、想いが醸成されていますね。

おわりに

自動車産業への進出だけでなく、大手との協業に求められること、新規事業創出に求められることがリアルに伝わる、げんなま史上もっとも生々しい会の一つだったと思います。

多くの鋭いご質問、ありがとうございました!

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
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