こんにちは。DeNAの貝瀬と申します。
前回に引き続き、Scrum Gathering Las Vegasの内容についてレポートさせていただきます。今回は、参加したセッションの中から1つだけ紹介したいと思います。アジャイルマニフェストの署名者としても有名な、Alistair Cockburn氏のクロージングキーノートです。
Disciplined Learning: Learn Early, Learn Often
プロジェクトは優れたアイデアと大きな希望からスタートします。この時点でアイデアが間違っているかもしれない、とは誰も思っていません。チームが招集され、精力的に働き始めます。彼らは懸命に働くなかで、話し合いを通じて、アサインメント、設計、メンバーの特徴、などについて学んでいきます。
しかし彼らは以下の要素についていつ学ぶのでしょうか?
- ビジネス的に成功するものを作っているのか?
- 我々に作ることができるのか?
- 我々の持つソリューションで解決できるのか?
- コストやスケジュールがどれくらいかかるのか?
ビッグバンリリースを行う従来型のプロジェクトでは、上記に関する学びを得られる時期が、プロジェクトの終盤に偏る傾向があります。
Alistair氏の提唱するモデルは、学習という観点で、プロジェクトを以下の3つのフェーズに分類し、プロジェクトのリスク軽減と利益の最適化をしようというものです。
Pay-to-learnフェーズ
早期に学ぶために頻繁に学びを得るフェーズ。このフェーズでは、短いサイクルで失敗を繰り返しながら4つのことを学ぶ。
- ビジネス的に成功するものを作っているのか?
- 我々に作ることができるのか?
- 我々の持つソリューションで解決できるのか?
- コストやスケジュールがどれくらいかかるのか?
Build Valueフェーズ
得られた知識を元に価値を作り上げるフェーズ。(詳細は本セッションのスコープ外でしたが、Jeff Patton氏のことを紹介されていました)
Shine & glossフェーズ
(プロダクトバックログの上から順に開発していれば、Build Valueフェーズまででリリース可能状態になっているという前提で)さらに機能を増やすために開発を継続するか、残りはそのままにしてリリースするか、を選択するフェーズ。(AppleがiPhoneやiPadをリリースしたときの戦略を紹介されていました)
まとめ
プレゼンテーションの大半が旅行記の紹介という衝撃的なセッションでした。旅行記の最中にアジャイルトレーニングクラスの模様が紹介されるほか、突然真面目な話題に切り替わる構成は、メリハリの効いたものとなっており、常に聴衆の関心を誘っていました。
- 開始〜:旅行記
- 17分〜:Disciplined Learningの話
- 30分〜:守破離の話が一瞬でて旅行記
- 50分〜:IC Agileの紹介
- 65分〜:Reenhantment of the worldの話
といったような構成です。
このセッションでもっとも関心したのがそのプレゼンテーションのテクニックでした。Scrum Allianceのサイトに講演の模様が動画で公開されています。
内容として興味深かったのは、今回紹介させていただいたDisciplined Learningの話で、プロダクトバックログの優先順位付け、プロダクトリリースの戦略について、知識の習得というものをどう考慮すべきかを学びました。Alistair氏のブログにはさらに詳しい記述があります。
おまけ
講演に集中しすぎて写真を取るのを忘れてしまったのですが、写真がないのも味気ない、ということで、渡米中に食べたハンバーガーの中で一番おいしかったものを紹介します。
美味しすぎてリピートしてしまいました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
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